エチオピアなどの小規模コーヒー農家を取り巻く環境が、急速に変化しつつある。欧州連合(EU)が2024年に施行予定の新たな規制「EUDR(森林破壊防止規則)」により、一部の大手コーヒー企業がエチオピアなど途上国からの調達を控える動きが出ているのだ。
欧州森林破壊防止規則/EUDRとは?
EUDRは、規制対象商品である、コーヒーやカカオ豆、大豆、パームオイル、木材、ゴム、牛の7種とそれらの派生商品(それらを使った製品)をEUに輸入・販売する企業に対し、それらが森林破壊の起きた土地で生産されたものでないこと(森林破壊フリー)を証明する義務を課す。
証明できない場合は、企業に高額の罰金が科される可能性がある。そのため、企業はサプライチェーンの生産地までをデジタルでトレースできるようにする必要があり、スプリチェーントレーサビリティの確保が大きな課題となっている。
この規制は、大企業には2024年12月30日から、中小企業にも25年6月30日から適用されると決められている。
世界的なコーヒー企業の対応と小規模農家への影響
実際、ある大手ドイツコーヒーブランドは「今後エチオピア産コーヒーを大量に購入する予定はない」と語っているという。また、別の大手コーヒー会社も、小規模生産国の一部をサプライチェーンから外さざるを得なくなるかもしれないと危惧の声を上げている。
エチオピアでは500万戸以上の農家がコーヒー生産に依存しており、これらの農家が規制で直接影響を受ける可能性が高い。生産履歴のデータ収集が難しく、EUDRを満たせない恐れがあるためだ。
一方で、規制を満たす生産地に調達を絞れば、コーヒーの供給が限定的になり、価格は上昇する見通しとの専門家の指摘もある。
エチオピアでは500万戸以上の農家がコーヒー生産に依存しており、これらの農家が規制で直接影響を受ける可能性が高い。生産履歴のデータ収集が難しく、EUDRを満たせない恐れがあるためだ。
一方で、規制を満たす生産地に調達を絞れば、コーヒーの供給が限定的になり、価格は上昇する見通しとの専門家の指摘もある。
価格高騰の恐れと日本への影響
規制の影響を最小限に抑えるべく、EUは生産国支援に7000万ユーロの基金を設けるなどの対策を講じている。しかし、森林保全をめざすEUDRが、かえって小規模農家の生活を脅かし、消費者への影響も及ぶ事態になりかねない状況に、コーヒー業界は頭を悩ませている。
なお、日本へのエチオピアコーヒー輸入に直接的な影響はないものの、この問題による世界的な価格高騰が、国内の小売価格にも影響を及ぼす可能性がある。
なお、日本へのエチオピアコーヒー輸入に直接的な影響はないものの、この問題による世界的な価格高騰が、国内の小売価格にも影響を及ぼす可能性がある。
大手コーヒー商社のうち一部は、EUDR対応コストを織り込んだ先物販売契約を確定させているという。世界的な価格高騰が国内にも波及する可能性はあり、今後、注視が必要な状況といえる。