コーヒー農園のあるコナの丘から海を望む
ハワイのもっとも大きい島であるハワイ島の西側、コナ地区で栽培されたコーヒーが「コナコーヒー」です。
まろやかな酸味や甘みが特徴とされ、日本でもとても人気がある銘柄です。
さらに、品質が非常に高く人気がある上に生産量が少なく、アメリカ国内にあって人件費や土地代も高いことから、高価なコーヒーとして知られています。
ハワイ州では、コナ以外でもコーヒーが栽培されていますが、コナこそがハワイの中で第一の品質を誇るといわれます。
その理由は、コーヒー栽培に適した土地と気候の特色によるものです。
コナコーヒーの生産地
北コナ地区と南コナ地区にあるファラライ山とマウナ・ロア山の裾野で栽培されるコーヒーノキ。多孔質でミネラル豊富な火山土壌がその生育環境として優れています。また、適度な気温、昼と夜の寒暖差、 そして程よい降水量などコーヒー栽培にとって理想的な環境をつくり出しています。
標高は300〜800メートルと、コーヒー栽培地としては低いものの、こうした環境が品質の高いコーヒーを育んでいます。
コーヒーの木は2月〜3月ごろに白い花を咲かせます。まるで農園一帯に雪が降ったかのように見えることから、「コナスノー」と呼ばれています。 花の命は短く、2〜3日しか咲きません。その後、緑色の実を結び、8月下旬からは真っ赤に色づいたコーヒーチェリーが収穫されます。収穫期は9月~翌年2月までのおよそ6カ月間です。
ハワイでは収穫のコーヒーチェリーは水洗式(Washed)で精選されます。果肉除去したのち、12時間から24時間発酵され、水洗処理後に「ホシダナ」で7日から14日間程度乾燥させるのが一般的な工程です。
コナの栽培品種はティピカですが、耐病性の低いトラディショナルな品種のため、病気や害虫の被害を受けやすく、近年も生産量が減少しています。
また、コナコーヒーはエクストラ ファンシー、ファンシー、ナンバー1、セレクト、プライムに等級分けされ、これ以下のグレードでは「コナコーヒー」と名乗ることはできません。等級分けされた生豆は、ハワイ州農務局で厳しく品質をチェックされます。格付けされた通りの等級かどうかを品質検査官が調べ、合格したコーヒー豆に対してのみ、詰められた麻袋ごとに、等級・コード番号などが記された「品質証明書」が発行されます。
このように厳格に管理されているからこそ、「コナコーヒー」の品質とブランドが守られています。
コナコーヒーの歴史
コーヒーベルトと呼ばれる、コナのコーヒー農園地帯
ハワイには、19世紀前半にブラジルからコーヒーノキが持ち込まれました。最初にオアフ島に持ちこまれ、その後ハワイ島やカウアイ島にも持ち込まれました。コナ地区には、1828年にサミュエル牧師が観賞用として植えたのが始まりとされます。
コナ地区は、当時の基幹産業であったサトウキビ栽培には向かず、コーヒーの栽培が徐々に行われるようになり、19世紀後半には、この地域に移住したイギリス商人ヘンリー・ニコラス・グリーンウェルが、コナコーヒーをブランドとして確立したといわれています。
1900年代に入ると、害虫被害やコーヒー価格の暴落で多くの資本家がコーヒー栽培から手を引くなか、サトウキビ農園での労働契約を終えた日本人移民が数多くコーヒー栽培を担いました。彼らは地主から小さな単位で土地を借りて、家族でコーヒー栽培を行いました。
1932年には、コナに1,000ものコーヒー農園があり、その90%が日系人による管理であったという記録もあるといいます。その後、大恐慌による物価の下落などでコーヒー栽培から離れる人も多くなりましたが、コナでは家族経営による小規模農園でのコーヒー栽培のスタイルが今に至るまで、続いています。
また、今でもコナのコーヒー農園では、乾燥棚を「ホシダナ」、作業場を「クリバ」と呼ぶなど、日本語の名称が残されています。
このような長い歴史の中で、コナコーヒーは、さまざまな変遷を経ながらも、栽培が続けられてきました。
アメリカ国内で生産されるコーヒーの代表として、ホワイトハウスの晩餐会でも使用されるというコナコーヒー。
アメリカや日本をはじめとして、世界中で希少なコーヒーとして、流通しています。
CROWD ROASTERで、ぜひ一度コナコーヒーを味わってみてはいかがでしょうか。
2024.1.2
CROWD ROASTER