
CROWD ROASTERも本拠としている東京、神保町の街角。元々は書店の倉庫だったという古い木造建築で営業するコインランドリーの2階という、一風変わった立地にある「オトナリ珈琲」。
全国のスペシャルティコーヒーを焙煎するお店から厳選した豆を使い、月替わりでコーヒー豆を仕入れるロースターが変わるという独自のスタイルでコーヒーを提供している。オーナーのしば田ゆきさんに、ロースターへの思いやコーヒーの哲学について伺った。
全国のスペシャルティコーヒーを焙煎するお店から厳選した豆を使い、月替わりでコーヒー豆を仕入れるロースターが変わるという独自のスタイルでコーヒーを提供している。オーナーのしば田ゆきさんに、ロースターへの思いやコーヒーの哲学について伺った。
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8月はCROWD ROASTERとオトナリ珈琲のコラボレーション!オトナリ珈琲でCROWD ROASTERのコーヒーが味わえます。
スペシャルなコーヒー「パナマ アルティエリ農園 ゲイシャ」も準備中。お店でご確認ください!
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コーヒーとの深い関わり
しば田さんがコーヒーと出会ったのは、オーストラリアでのワーキングホリデー時代。カフェ文化の本場で、日常に根ざしたコーヒーの魅力に触れたことが、現在の活動の原点となっている。帰国後は東京・駒込の百塔珈琲Shimofuriで店長を務め、地域に愛される店づくりに携わった。
バリスタとしても真摯にコーヒーと向き合い、過去に4回、ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)に出場。バリスタ日本チャンピオンの石谷貴之さんのセミナーにも参加し、技術向上に努めた。また、ジャパンブリュワーズカップでは審査員も2回経験するなど、競技会の世界にも関わってきた。
そうした経験を経た、しば田さんがオープンさせた「オトナリ珈琲」は、他にはない独特の場と、コーヒーの楽しみ方を追求している。
バリスタとしても真摯にコーヒーと向き合い、過去に4回、ジャパンバリスタチャンピオンシップ(JBC)に出場。バリスタ日本チャンピオンの石谷貴之さんのセミナーにも参加し、技術向上に努めた。また、ジャパンブリュワーズカップでは審査員も2回経験するなど、競技会の世界にも関わってきた。
そうした経験を経た、しば田さんがオープンさせた「オトナリ珈琲」は、他にはない独特の場と、コーヒーの楽しみ方を追求している。
目の前にいる人を大切にする哲学

「私は自分が触れられるものを大切にしたいという想いがあります。ここでコーヒーを飲んでくれる方が安心、安全に暮らすことを願っています」と語るしば田さん。この言葉には、彼女のコーヒー店や業界に対する独自の視点が表れている。
「自分の取引先で言うと、ロースターさんが健全に商売ができる環境が続くといいなと思っています。それがひいては良い豆を選んでいることや、良い豆を育てている人を守ることにもなると思っているのです」
「自分の取引先で言うと、ロースターさんが健全に商売ができる環境が続くといいなと思っています。それがひいては良い豆を選んでいることや、良い豆を育てている人を守ることにもなると思っているのです」

しば田さんが大切にしているのは、お客さんとロースターさんという「自分の隣にいる人」のこと。
「自分の目の前にあるものに対して誠実で、素直で、真面目にやるということが、結果的にコーヒーが良くあり続けるということに繋がるのかなと思っています。今の世の中では誠実にやっていくということが難しくなってきているように思うのですが、もし自分の店が傾くようなことになっても、そこはやり通したいと思っています」
日本のロースター文化への強い想い

オトナリ珈琲では、様々な焙煎士のコーヒーを提供しているが、その背景には日本のロースター文化への深い敬意がある。
「日本のロースター文化というのはすごいものだと思っているし、ネルドリップに始まるドリップ文化も、日本の先人たちが少しずつ積み上げてきたもの。それをサードウェーブ経由ではなく、神保町にもたくさんある、コーヒーを出してきた喫茶店から、もう少しきちんと紐解いていくこともできると思うんです」
しば田さんは、真面目に美味しいコーヒーを作っている人のコーヒーが評価されてほしいという強い思いを持っている。「日本のロースター文化と、職人的な考え方は、やっぱり海外の人たちのそれとは全然違うと思うんです。繊細というか細かいというか、そういう人間性みたいなものが日本人は強いから」
「日本のロースター文化というのはすごいものだと思っているし、ネルドリップに始まるドリップ文化も、日本の先人たちが少しずつ積み上げてきたもの。それをサードウェーブ経由ではなく、神保町にもたくさんある、コーヒーを出してきた喫茶店から、もう少しきちんと紐解いていくこともできると思うんです」
しば田さんは、真面目に美味しいコーヒーを作っている人のコーヒーが評価されてほしいという強い思いを持っている。「日本のロースター文化と、職人的な考え方は、やっぱり海外の人たちのそれとは全然違うと思うんです。繊細というか細かいというか、そういう人間性みたいなものが日本人は強いから」

こうした思いを抱くきっかけとなったのが、百塔珈琲での経験だった。
「前に勤めていた焙煎店のオーナーに、少しだけ焙煎も教えてもらっていた時期があったんです。オーナーは職人気質な感じで、言葉は少なく、コーヒーの味についても、表現が他の人に比べてすごく少ない方でした。でも毎日飲んでいて、コーヒー焙煎においての表現というのはすごくわかってるんだなという感じがするんですよ。
別に言葉にするのが上手じゃなくても焙煎の上手な人はいるし、私は多分こういう職人仕事はあまり得意じゃないので、どちらかというと伝える側の方が合うかもしれないなと思ったんです」
焙煎士にフォーカスしたプラットフォームへの共感

そんな日本の焙煎士文化を大切にするしば田さんは、焙煎士の個性や技術を発信するプラットフォーム「CROWD ROASTER(クラウドロースター)」についても関心を寄せていた。
「最初の頃にすぐインストールしてみました。すごいスキームだなと思いました。どういうことなんだろう、誰がやるんだろうみたいな。大変そうだって思ってみてたんですけど」
ただそのコンセプトには深く共感している。「優位性というか、他が絶対やらないし、できないことなので、そこはすごく強いなと思います。そういうのがいいなって思ってもやろうとは思えないですよね」
焙煎士一人ひとりの技術や想いにスポットライトを当てるという姿勢は、しば田さんが大切にしている価値観と通じるものがある。
自分の感覚を信じることの大切さ


オトナリ珈琲の店内には、コーヒーの銘柄ごとに特徴的な「コメントカード」が用意されている。そこには「個人のいっときの感想です」として、コーヒーの印象が書かれているが、これには、しば田さんの深い思いが込められている。
「例えば、プロの人から『これが一番美味しいコーヒーです』って言われたら、人は結構そう思っちゃうじゃないですか。でも、あなたが美味しくないんだったら、美味しくないんですよって言いたいんですよね。あなたが思った『美味しい』が一番自分の『美味しい』なので、それがあなたにとって大切ですということを、何回も伝えるようにしています」
このコメントカードを置く理由について、「コーヒーを自分の感じ方で捉えていいということを、まずは知ってもらいたい」と話す。「これが一番いいよって人に言われたものを、そのまま受け取るのではなく、自分の感覚で生きていいということを、もっとみんながやった方がいいと思うんです」。それを伝えるために、お客さんが自ら印象を書くことができるカードもあわせて置かれている。
店舗の運営においても、この哲学は一貫している。「レシピも大体の数字を書いて、『今月の概要はこれです』って。あとは自分で味を見て変えてくださいってスタッフには言ってるんです。同じように淹れたとしても毎日味がすこしずつ違うので、昨日と一昨日でもちょっと変えたりとか。その人がその日に一番おいしいと思う形で淹れられるようにという話をしています」
「例えば、プロの人から『これが一番美味しいコーヒーです』って言われたら、人は結構そう思っちゃうじゃないですか。でも、あなたが美味しくないんだったら、美味しくないんですよって言いたいんですよね。あなたが思った『美味しい』が一番自分の『美味しい』なので、それがあなたにとって大切ですということを、何回も伝えるようにしています」
このコメントカードを置く理由について、「コーヒーを自分の感じ方で捉えていいということを、まずは知ってもらいたい」と話す。「これが一番いいよって人に言われたものを、そのまま受け取るのではなく、自分の感覚で生きていいということを、もっとみんながやった方がいいと思うんです」。それを伝えるために、お客さんが自ら印象を書くことができるカードもあわせて置かれている。
店舗の運営においても、この哲学は一貫している。「レシピも大体の数字を書いて、『今月の概要はこれです』って。あとは自分で味を見て変えてくださいってスタッフには言ってるんです。同じように淹れたとしても毎日味がすこしずつ違うので、昨日と一昨日でもちょっと変えたりとか。その人がその日に一番おいしいと思う形で淹れられるようにという話をしています」
海外への発信と今後の展望

しば田さんには、日本のロースター文化を海外に発信したいという大きな目標がある。「私はロースターさんにロングインタビューをして公開しているんですけど、それを訳して英語サイトを作ろうと思ってはや数年経つんです」
「職人的な考えを持っている日本の焙煎屋さんのお話を、コーヒー業界の人間としてインタビューしたら、より深い話を引き出せるかなと思ってやっています。同じグローバルでも海外の豆を仕入れるよりは、日本の焙煎士ということをテーマにしていきたいです」
そんな、しば田さんが目指すのは、「綺麗で甘いコーヒー」。「自然に体の中に入っていく。そして、最後になんか美味しかったなって思うような、そういう感じのコーヒーを出したいなと思ってるんです。フレーバーがとても強いというよりは、甘くて、何も考えずに口に運んじゃう」というコーヒーが理想だと語る。
空間自体がしば田さんの考えを反映しているような、オトナリ珈琲という独特な空間で、しば田さんは自身の追い求めるコーヒー文化を静かに、しかし確実に紡ぎ続けている。
「職人的な考えを持っている日本の焙煎屋さんのお話を、コーヒー業界の人間としてインタビューしたら、より深い話を引き出せるかなと思ってやっています。同じグローバルでも海外の豆を仕入れるよりは、日本の焙煎士ということをテーマにしていきたいです」
そんな、しば田さんが目指すのは、「綺麗で甘いコーヒー」。「自然に体の中に入っていく。そして、最後になんか美味しかったなって思うような、そういう感じのコーヒーを出したいなと思ってるんです。フレーバーがとても強いというよりは、甘くて、何も考えずに口に運んじゃう」というコーヒーが理想だと語る。
空間自体がしば田さんの考えを反映しているような、オトナリ珈琲という独特な空間で、しば田さんは自身の追い求めるコーヒー文化を静かに、しかし確実に紡ぎ続けている。
「不特定多数の人が一か所に集まるという意味では、違う価値観の人たちが一緒にいられることもすごく大事なことだと思っています」という言葉通り、多様な人々が集まる場所として、オトナリ珈琲は神保町の街に根付いている。
そして、その場には自分の暮らしや生き方をすこし振り返ることができるような、豊かな時間が流れている。
そして、その場には自分の暮らしや生き方をすこし振り返ることができるような、豊かな時間が流れている。
8月はCROWD ROASTERとオトナリ珈琲のコラボ開催!
CROWD ROASTERのコーヒーをオトナリ珈琲で出していただいています。
焙煎をお願いしたのは、FUJIYAMA COFFEEの藤山博康さん、FUKUSUKE COFFEE ROASTERYの三浦拓也さん、Marleyの成田学さん。
コーヒーは、エルサルバドルのSL28です。同じコーヒーを3人に焙煎してもらっていますので、オトナリ珈琲で焙煎違いの飲み比べもできます!
また、特別にアルティエリ農園のパナマ ゲイシャも準備しています。
こちらが気になる方はお店で聞いてみてください!
ぜひ8月は、オトナリ珈琲のスイーツメニューとともに、CROWD ROASTERのコーヒーを楽しんでください!

オトナリ珈琲
東京都千代田区神田神保町2-48 2F
※1Fは「コインランドリーザナドゥ水道橋神保町店」
夏季の営業時間:15:00 – 22:00
8/25-8/28は夏休み(その他はインスタグラム要確認)
8/25-8/28は夏休み(その他はインスタグラム要確認)
2025.08.04
Text by CROWD ROASTER
Photo by Takurow