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欧米で注目される日本のアイスコーヒー抽出法

アイスコーヒーが文化として浸透している日本では、その作り方もさまざまに工夫されてきた。

近年は欧米でも夏にアイスコーヒーが飲まれているが、日本発祥の抽出方法は、注目を浴びている。
その一端を紹介しよう。
 

「キョートコーヒー」とは?

Cold Brew=水出しコーヒーは、日本で始まった抽出方法だといわれている。

簡単に水出しコーヒーを淹れる方法としては、コーヒー粉を水の中に入れて数時間から十数時間置き、その後、ペーパーフィルターなどでコーヒー粉を濾す方法がある。
また、市販のお茶パックを使えばより簡単だ。
 

一方、専用の器具を使った特徴的な水出しコーヒーの抽出方法が「ダッチ・コーヒー」だ。
 

ダッチとはオランダのことだが、ダッチ・コーヒーが指すのは本国ではなく戦前のオランダ領東インド(蘭印)、後のインドネシアのことだという。

コーヒーの産地であるインドネシアでは、現地での飲み方として、コーヒー粉にたっぷりと水を含ませて、滴り落ちる濃厚なコーヒーエキスをミルクで割るという飲み方があったという。

これに使うコーヒー豆は、臼と杵で搗いてかなり細かくしたもので、しかも生産地らしく、粉の量もかなり多かったようだ(野村恵二著『南洋点描』昭和16年)

このような産地ならではの抽出方法にヒントを得て、戦後に京都で生まれたのがダッチ・コーヒーだといわれる。

ウォータードリップともいい、ガラスの太い筒にコーヒー粉を入れて、その上に置いた容器から水が一滴ずつコーヒー粉に落ちていき、抽出液が一滴ずつ溜まっていく。

専用のガラス製器具を使って、常温で数時間かけて抽出されるこのダッチ・コーヒーは、独特のまろやかな風味と濃厚なコクが特徴。

かつて、昔ながらの喫茶店に置かれた巨大な器具を見たことがあるかもしれない。

これが蘇ったのが、2010年代のアメリカだ。日本のこの器具が紹介されて使われるようになった。理由は不明だが、「Kyoto Coffee(キョートコーヒー)」と呼ばれている。

実際、京都で生まれたこの抽出法、今後新しい世代によって使われていくかもしれない。

ジャパニーズアイスドコーヒー

 
「キョートコーヒー」は、専門店で専用の器具を使う抽出方法で、水出しならではの独特の風味を楽しむためのものだ。

アイスコーヒーとして提供されることが多いとは思うが、もちろん温めて飲むこともできる。

一方、「Japanese Iced Coffee(ジャパニーズアイスドコーヒー)」は純然たるアイスコーヒーの抽出方法である。

いわゆる「急冷法」のことだからだ。
ペーパードリップを受けるサーバーに直接氷を入れて、通常より濃く抽出したコーヒーを急冷する方法である。

アメリカではハリオV60を使ったレシピが広まっているようだ。
大手のコーヒーチェーンでも、アイスコーヒーがメニューに加わっているが、自宅でもアイスコーヒーを楽しもうとする際に、水出しよりも格段に手軽なために、この方法が使われている。

特に昨今のインフレにより、テイクアウトするコーヒーの値段も上がっていることから、自宅でアイスコーヒーを淹れるという文化が徐々に広まってきており、SNSには、#Japaneseicedcoffee のタグの投稿も盛り上がっている。

また、スペシャルティコーヒー店では、自店の焙煎豆を使った水出しコーヒーをおしゃれなビンや缶に入れて売っていることも多い。

自宅で楽しむようになるほど、欧米にもアイスコーヒー文化が一般化してきているということだろう。