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Takeruの焙煎士飲み比べレビュー【GJE】エチオピア ナチュラル

CROWD ROASTERをローンチ初期から利用しているユーザーで、長くコーヒー関係の仕事をしていた「Takeru」のレビュー企画第一弾。

今回は「【GJE】エチオピア ゼレラムコーヒーウォッシングステーション ナチュラル」を、Roast Design Coffee 三神仁美さんと、FUJIYAMA COFFEE ROASTERS 藤山博康さんのお二人の焙煎で、飲み比べたレビューです。

アラビカ種の原産地 エチオピア

 
今回、焙煎士飲み比べを行う生豆は「【GJE】エチオピア ゼレラムコーヒーウォッシングステーション ナチュラル」です。

世界中で流通しているコーヒーの多くは、大きく分類すると「アラビカ種」とロブスタ種で有名な「カネフォラ種」の2種。
その内、アラビカ種の原産はエチオピアであると言われており、エチオピアは、未だ研究や分類が進んでいない栽培種の宝庫でもあります。

特徴的な香りの銘柄が多いエチオピアのコーヒーをお好きな方はとても多いのではないでしょうか?

 
今回の銘柄はコーヒーチェリーの果肉がついたまま乾燥させる、ナチュラルプロセスのコーヒーです。
実が付いたまま太陽光と風を利用して通常長い期間をかけて乾燥させるナチュラルですが、乾燥のさせ方が上手でないとカビが生えてしまったり嫌な発酵の香りが出てしまったりと難しいナチュラル。

ただ、上手に処理されたナチュラルは、とてもクリーンながらナチュラル特有のフルーティさや丸いマウスフィールを感じられるため、ファンもとても多いですよね。

ゼレラムコーヒーウォッシングステーションの写真
 
この銘柄はエチオピアの輸出業者であるトラコントレーディング(TRACON TRADING)が所有するゼレラム コーヒー・ウォッシングステーション(生産処理を行う施設)が近隣の小規模農家から収穫されたチェリーを集めて生産処理を行っているようです。
品質向上への意識が高く、持ち込まれたチェリーを受け入れる際に未成熟や過熟を取り除き完熟した実のみを受け入れるため、結果的に生産者の意識が高まるとのこと。

エチオピアのコーヒーはチェリーの熟度のばらつきや欠点豆の多さ、生産処理の未熟さなどからあまりクリーンではないコーヒーが多いですからね、これは期待できそうです。

前置きが長くなりましたが焙煎豆の豆面を見てみましょう。
 
三神仁美さん焙煎(左)、藤山博康さん焙煎(右)

今回は焙煎士それぞれで仕上げる「焙煎度合い」が異なっています。
左の三神さん焙煎は「ライトロースト」。CROWD ROASTERで採用されている8つの焙煎度合いの内の1番の浅煎りですね。
右の藤山さん焙煎は「ミディアムロースト」。中煎りと呼ばれる焙煎度合いですね。

写真では中々伝わりにくいですが、この銘柄、かなりの小粒です。
ただ、焙煎度合いの違いによる色味の違いはあれど、豆の膨らみはそこまで大差はないですね。
どちらもかなりの小粒です。

それでは淹れていきたいと思います。

抽出



今回は焙煎度合いがそれぞれ異なりますが、ナチュラルらしいマウスフィールと素材の風味をしっかり引き出せるよう、どちらもMelittaのドリッパーを使用して、粗く挽いたコーヒー豆14gに対して140mlのコーヒーを抽出します。
テイスティング方法はそれぞれの豆に合わせて、浅煎りの三神さん焙煎はワイングラスで、中煎りの藤山さん焙煎は少し大きめのカップで頂きます。
 

Roast Design Coffee 三神仁美さん焙煎

 
 
繊細ながらツルッとした滑らかなマウスフィール。
チョコレートや大麦のような風味と、カスタードクリームのような甘い印象を感じられます。
オレンジともイチゴともチェリーとも捉えられるような淡く繊細ながら複雑な果実味も感じられ、とても面白いです。

正直、エチオピアらしくも、ナチュラルらしくもないといった印象ですね。
穏やかで繊細ながら、しっかり甘く、そして滑らか。
派手な香りや強い果実味を感じられるコーヒーではありませんがとても甘く美味しいコーヒーです。

冷めるにつれてカスタードクリームの印象が強くなってきますね。
また、少し腐葉土のような香りや渋みが出てきました。

実はこの【GJE】という銘柄は何度か他の焙煎士に焙煎していただいたものを飲んだことがあったのですが、どれもこの土のような印象と冷めてからの渋みという共通の印象を感じられました。
その辺りはやはりエチオピアと感じますね。
ただそこまで大きく気になるネガティブな印象ではありませんし、しっかりと甘い味わいを楽しめるので非常に面白い銘柄だと思います。

常温にまで冷めるとほんのり柑橘の香りが感じられるエールビールのような印象になってきました。
温かい時に感じていた大麦やオレンジの風味から変化した印象でしょうか。
繊細ながらしっかり甘さを感じ、香りも複雑でとても面白いコーヒーですね。
 

FUJIYAMA COFFEE ROASTERS 藤山博康さん焙煎

 
 
続いて、FUJIYAMA COFFEE ROASTERS 藤山さん焙煎のコーヒーを頂きます。

口をつけた瞬間から余韻までしっかりとした甘みを感じられます。
滑らかなチョコレートやドライいちじくの風味。
軽やかな飲み口ながらとろっとしたマウスフィール。
カップを口に運ぶ手が止まらず、気を抜くとすぐに飲み切ってしまいそうです。

この焙煎豆はもう少し濃度を出す抽出にした方が合うかと迷いましたが、しっかり抽出しすぎると暗く一辺倒な味わいになってしまうかと思いこの淹れ方にしました。
すっきりした味わいに抽出しても、ある程度火を入れたナチュラルプロセスのコーヒーなので滑らかなマウスフィールに仕上がりましたし、口の中で香りが豊かに広がるような味わいになりましたので、これで正解だったようですね。

とにかく甘いです。
それ以外の表現を放棄してしまいそうなほどに......。

冷めるにつれてアプリコットのような印象に変わってきましたね。
また、やはり腐葉土のような香りや少し渋みも出てきました。
素材由来だと思いますので仕方ありませんが、少し甘さを阻害してしまいますね。

とは言え、先ほど同様にそこまでネガティブな印象が強い訳ではありませんので、最後までしっかりと愉しめます。
何度も言いますが、本当に甘いです。

飲み比べを終えて

 
今回は、焙煎度合いの異なる2つの飲み比べでしたのでやはり味わいが大きく異なりましたね。
どちらもエチオピアらしい特徴的な香りが強いわけではなく穏やかなコーヒーではあったものの、しっかりと甘さを感じられるコーヒーでした。
日常的にスイーツなどと合わせて楽しむのも良いかもしれないですね。

今回は「ライトロースト」と「ミディアムロースト」の焙煎度合いで仕上げたコーヒーを頂きましたが、違う焙煎度合いだとまた大きく味わいが変わってくるようなポテンシャルを感じます。
皆さんもお気に入りの焙煎士でこちらの【GJE】を楽しまれてみては如何でしょうか。

上記のような味わいを必ず感じられることを保証したレビューではなく、あくまで私個人が感じた感想ではありますが、少しでも皆さんのコーヒーライフの参考になれば幸いです。

それでは今回はこの辺で。
皆さんの生活に良いコーヒーがあらんことを。
Takeru

焙煎士からのコメントをもらいました!

今回のユーザーレビューを読んでいただいた、焙煎士の方からコメントをいただきました。
そのコメントをご紹介します。
 

三神 仁美さん

「イチゴやチェリーといったフレーバーを感じていただけてとても嬉しいです。アフターが独特な部分があるのと、火が入ると苦味が少し感じられるところはありますが(豆が小さく火が入りやすい)、浅煎りとはいえその苦味も含めたバランスを考えて焙煎を調整しています。繊細なフレーバーまで、楽しんでいただけたようで幸いです」
 

藤山 博康さん

「私が考えるエチオピア ナチュラルのコーヒーはコメントにあるように「甘さ」が特徴のコーヒー豆だと思います。その「甘さ」を最大限、引き出す為、焙煎時間は短めに、少しカロリーを与え、ミディアムローストに仕上げました。まさに狙っていたコメントを頂けて、とても嬉しいです」
 
 
CROWD ROASTER アプリでは、実際に焙煎士の方とコメントのやりとりができます。ぜひ試してみてください。