品質の高いコーヒーについていわれる、「スペシャルティコーヒー」(Specialty Coffee)という言葉。
このスペシャルティコーヒーについて、ここでは改めて考えてみたい。まずはその定義を確認してみよう。
このスペシャルティコーヒーについて、ここでは改めて考えてみたい。まずはその定義を確認してみよう。
「際立つ特性」のあるコーヒー
日本スペシャルティコーヒー協会(SCAJ)の定義では次のようになっている。少し長いが引用する。
消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。
風味の素晴らしいコーヒーの美味しさとは、際立つ印象的な風味特性があり、爽やかな明るい酸味特性があり、持続するコーヒー感が甘さの感覚で消えていくこと。
カップの中の風味が素晴らしい美味しさであるためには、コーヒーの豆(種子)からカップまでの総ての段階において一貫した体制・工程・品質管理が徹底していることが必須である。(From seed to cup)
具体的には、生産国においての栽培管理、収穫、生産処理、選別そして品質管理が適正になされ、欠点豆の混入が極めて少ない生豆であること。
そして、適切な輸送と保管により、劣化のない状態で焙煎されて、欠点豆の混入が見られない焙煎豆であること。
さらに、適切な抽出がなされ、カップに生産地の特徴的な素晴らしい風味特性が表現されることが求められる。
このように、風味については際立つ特性があり、明るい酸味、後味の甘さが重要であり、生産から抽出まで適切に取り扱われているコーヒーであるとしている。さらに補足として「サステナビリティとトレイサビリティの観念は重要なもの」としている。
よく誤解されていることであるように思うが、スペシャルティコーヒーとは特定のカッピングプロトコルで何点以上のものであると定義されている訳ではない。
そのコーヒーがスペシャルティコーヒーであるかどうかを判定するために、そうした基準が使われている。具体的には、SCAA方式で80点以上のスコアを獲得したコーヒーということになる。
これについては、今後詳しく触れるとして、スペシャルティコーヒーという言葉の起源についてみてみたい。そもそも、この言葉が最初に提唱されたのは、1970年代のアメリカであった。
よく誤解されていることであるように思うが、スペシャルティコーヒーとは特定のカッピングプロトコルで何点以上のものであると定義されている訳ではない。
そのコーヒーがスペシャルティコーヒーであるかどうかを判定するために、そうした基準が使われている。具体的には、SCAA方式で80点以上のスコアを獲得したコーヒーということになる。
これについては、今後詳しく触れるとして、スペシャルティコーヒーという言葉の起源についてみてみたい。そもそも、この言葉が最初に提唱されたのは、1970年代のアメリカであった。
アメリカで提唱された概念
1978年、アメリカのロースターKunutsen Coffeeの代表、エルナ・クヌッテン(Erna Kunutsen)女史はフランスのコーヒー国際議会において、「特別な地理的環境による微小気候(Microclimate、マイクロクライメット)がもたらす、特徴的な風味特性を持ったコーヒー」に対して「スペシャルティコーヒー」という名称を提唱した。
コーヒーの銘柄の説明で時々現れるこの「微小気候」という語は耳慣れないかもしれないが、基本的には非常に狭い区域の特徴的な気候(気温、降雨量、湿度など)と土地の状況(土壌、標高など)のことを指している。
また、マイクロクライメットは、ワインでいうテロワールと同等な言葉だといわれている。
そこから生まれたユニークなフレーバーを持つ(もちろんポジティブな)コーヒーを、スペシャルティコーヒーと呼んだのである。
当時アメリカはコーヒーの最大消費国でありながら、消費量を確保するために扱われるコーヒーの質の低下が憂慮されており、品質の向上のために提唱されたもので、1982年にアメリカのスペシャルティコーヒーの共通基準を策定するために立ち上げられた「アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)」にこの定義は引き継がれていった。
コーヒーの銘柄の説明で時々現れるこの「微小気候」という語は耳慣れないかもしれないが、基本的には非常に狭い区域の特徴的な気候(気温、降雨量、湿度など)と土地の状況(土壌、標高など)のことを指している。
また、マイクロクライメットは、ワインでいうテロワールと同等な言葉だといわれている。
そこから生まれたユニークなフレーバーを持つ(もちろんポジティブな)コーヒーを、スペシャルティコーヒーと呼んだのである。
当時アメリカはコーヒーの最大消費国でありながら、消費量を確保するために扱われるコーヒーの質の低下が憂慮されており、品質の向上のために提唱されたもので、1982年にアメリカのスペシャルティコーヒーの共通基準を策定するために立ち上げられた「アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)」にこの定義は引き継がれていった。
なお、アメリカスペシャルティコーヒー協会(SCAA)と、ヨーロッパスペシャルティコーヒー協会(SCAE)は、2017年に合併しスペシャルティコーヒー協会(SCA)となった。
こうした取り組みによって、それまでアメリカでは単なる相場商品であったコーヒーのなかから、それ以上の新たな価値を伴った「スペシャルティコーヒー」が生まれることになった。
また、品質に対して対価を払うといった仕組みは生産者のモチベーションを刺激し、新たな品種開発、土壌開発、肥料開発、生産処理方法の研究が行われ、カップ・オブ・エクセレンス(COE)に代表されるようなオークションが盛んに行われるようになり、消費国のロースターとの取引も行われるようになる。
今日ではこうした産地と消費国の結びつきが強まり、生産者から消費者への「From Seed to Cup」という概念はさらに発展。トレーサビリティを重視したスペシャルティコーヒーは、より多様性を増している。
では、こうしたスペシャルティコーヒーの評価基準とは? カップ・オブ・エクセレンス(COE)との関係は? スペシャルティコーヒー=浅煎りという概念は正しいのか? などなど、この後の記事ではそれらの疑問を掘り下げていきたいと思うので、続編をお待ちいただきたい。