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コーヒー生豆のニュークロップ、オールドクロップの違い

 
「ニュークロップ」や「オールドクロップ」とコーヒー豆について言われているのを、コーヒーショップで見かけることがあるかもしれません。

スペシャルティコーヒーではあまりみられないかもしれませんが、昔ながらの喫茶店では、オールドクロップのコーヒーがメニューにあることも。その違いとは何なのでしょうか。

コーヒー生豆の収穫年についての区分

 
ニュークロップやオールドクロップは、コーヒーの生豆(焙煎前の豆)について言われます。一般的な分類では、次のようになります。

ニュークロップ:その年に収穫された(収穫年度内の)コーヒー豆、もしくは次年度産のコーヒー
カレントクロップ:流通しているその年に収穫された(収穫年度内の)コーヒー豆
パーストクロップ:前年度に収穫されたコーヒー豆
オールドクロップ:前年度以前に収穫されたコーヒー豆、もしくは数年間寝かせたコーヒー豆

コーヒーの年度とは、10月始まりの1年になります。これは、世界最大のコーヒー生産国であるブラジルの収穫時期を基準としているためです。

さらにややこしいのは、生産国においてコーヒーの実の収穫から精選(生産)処理を経て、日本に生豆が届くまでに、およそ半年ほどのタイムラグが生じること。

生産国ごとに収穫時期が異なり、収穫回数も異なっているために、どの年度のクロップかを判別するにのは、難しいこともあります。

専門店でコーヒー豆を買うと、収穫年度が記載されていることも多いので、ここでチェックすることが現実的でしょう。

「2023/24」のように、西暦を併記したような記載があるのは、上記の10月始まりによるためです。これは2023年10月から2024年9月の収穫年度を指すことになります。

ニュークロップが重視される理由

 
ニュークロップとは、前述の通り、収穫された年度内のコーヒー豆を指します。
さらに限定された使い方としては、到着したての生豆や、これから入港する生豆について特にいう際にも使われます(日本語では「新豆」と言われたりもします)。

スペシャルティコーヒーでは、このニュークロップが重んじられています。その理由は、産地(微小気候)の特徴を表現したコーヒーであると提唱されるために、その生豆由来の香りや風味の差を味わうのには、ニュークロップやカレントクロップが適していると考えられるためです。

コーヒー生豆は、生産国で生産処理(精選)されて、輸送や保管に耐える安定した状態で輸出が行われます(例えば水分値が10パーセント前後の状態)。

しかし、安定した状態とはいえ、湿度や温度の変化が少ない保管に環境で保管しても、ゆっくりと水分が抜けて、生豆に含まれる糖やクロロゲン酸などの成分も少しずつ失われていきます。

そうした変化が最小限のうちに、焙煎して飲むことで、よりコーヒー豆の持つ香りや味わいを楽しむことができるということになります。

ただしこうした生豆の変化は、絶えず起こっていることで、収穫後どれくらいの期間ならば風味が保持されており、どこから失われる、といった基準などはありません。

オールドクロップの特徴

 
オールドクロップのなかでも、保管に適した環境下で数年、時には数十年にわたって保管された生豆は、エイジングされているといいます。

これは、生豆の変化を逆手にとって、成分が変化することにより、苦味や酸味が少なく、まろやかで飲みやすいコーヒーになるとされています。

鋭い酸味を持つ豆や、強い苦味のもととなる成分が多く含まれた生豆の場合、こうしたエイジングで角が取れてまろやかになる(=成分が一部失われる)ということが十分に考えられます。

オールドクロップには、こうしたことから愛好家がいるほどで、どんな生豆をエイジングすればどのようなコーヒーになるか、というのはエイジング前の生豆から予想することは難しく、こうしたエイジングコーヒーを扱う専門店では、経験が重要だと言われています。

オールドクロップやニュークロップの差は、収穫されてからどれくらい時間が経過したかで区別されます。それに起因する特徴がそれぞれにありますが、おいしさを示したものでないことは言うまでもありません。

どちらも味わってみて、好みに合ったコーヒーを見つけることがより大切なことだと思います。
 
 
2024.1.14
CROWD ROASTER