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ポテンシャルが高いブラジルのスペシャルティ!世界のコーヒーの産地紹介

ブラジルのコーヒーは、世界最大の生産量を誇りますが、コモディティのコーヒー生産が多くを占めるイメージがあります。
しかし、スペシャルティコーヒーに代表されるような、品質向上の取り組みにも、ブラジルは早くから取り組んでいる生産国です。
 
今回はブラジルとスペシャルティコーヒーの歴史についてご紹介します。

世界有数のコーヒー大国

 
前述したように、ブラジルは言わずと知れたコーヒーの一大生産地。栽培面積と生産量で世界第1位を誇り、生産のみならず消費量でもアメリカに次ぐ世界第2位となっています。

生産されるコーヒー豆は、約7割がアラビカ種で、残りの約3割はカネフォラ(ロブスタ)種です。

ブラジルの主要産地は地球温暖化の影響などもあり、年々変化していますが、近年ではサンパウロ州、ミナスジェライス州、バイア州などで生産が活発です。またスペシャルティコーヒーの台頭に伴い、品質評価も見直され、全体的に豆の品質が向上しています。

ブラジルの勾配が少なく平らな土地や、なだらかな斜面が続くとても広大な土地は、コーヒー栽培、収穫方法にも大きな特徴を生み出します。
広大な農園の収穫は効率を上げるために機械化が進み、コーヒーの木と木の間に機械が入れるように整備されています。機械を使うことで、まだ熟しきれていない緑色の実も落としてしまうデメリットもありますが、その広大さから機械に頼らないと収穫しきれないという現実があります。

また、機械の導入が難しい山間部や小規模な農園では、ピッカーと呼ばれる摘み手により手で収穫が行われており、コーヒーが栽培されている地域の特性により使い分けられています。

精選の工程はナチュラルが主流。ナチュラルは収穫したコーヒーチェリーを選別し、果実のまま乾燥場で天日乾燥させ(機械乾燥を用いている農園もあります)乾燥した果実を脱殻して、コーヒー生豆を取り出します。ウォッシュドと比べると大量の水を使用しないので環境に優しく、またコーヒーの果肉をつけたまま乾燥させるため独特の甘みや風味が生まれるのが特徴です。
 
ブラジルの中でも、地域の特性が存在し、近年ではナチュラル以外の精選方法に取り組む農園も増えています。
また、機械収穫をするような大規模な農園でも品質向上への取り組みは行われており、一概に大量生産=品質の低下という形で括れないようになってきているのです。
 
それには、ブラジルスペシャルティコーヒー協会が大きな役割を果たしています。

ブラジルスペシャルティコーヒー協会の設立

 
1991年、コーヒーにおける品質の重要さを認識し、12人の先駆者や起業家がコーヒーの品質に投資することで、新たな取引機会を得ようと、Associação Brasileira de Café Especiais (BSCA) を設立しました。BSCAは、スペシャルティコーヒーの国内外市場の個人や企業を結集し、スペシャルティコーヒーの生産、商品化、産業化における技術向上の普及と促進を目指しています。

BSCAは、生産国の協会であることから、研究、品質管理技術の普及、製品プロモーションのためのパートナーシップを通じて、国内外の市場で提供されるブラジル産コーヒーの品質を向上させることが大きな目標となっています。

そんな活動の中から、1999年にBSCAのバックアップにより、世界初で初めてCOEがブラジルで開催されたのです。

カップ・オブ・エクセレンスのスタート

1999年10月、ブラジルのラブラス大学でコーヒーの品評会の実験が行われました。「ベスト・オブ・ブラジル(Best of Brazil)」と名付けられたこの品評会では、10ロットが入賞し、「カップ・オブ・エクセレンス(CoE、Cup of Excellence)」という品質証明書が授与されました。そして、さらに1999年12月、この入賞ロットを扱う、世界初のインターネット・コーヒー・オークションが開催されたのです。

このベスト・オブ・ブラジルは、国際コーヒー機関(ICO)(International Coffee Organization)と一次産品共通基金(Common Fund for Commodities)が主な資金源となっている「グルメ・プロジェクト(Gourmet Project)」の一環として開催されたものでしたが、そもそもはBSCAで活動していた品質向上に熱心なブラジルの生産者たちが、新たな品質基準で、価格もそれに見合った形でコーヒーを取引しようと取り組んだ品評会でした。
 
その後、ブラジルの成功を見て、COEは各国で開催されるようになり、コーヒーの品質向上と生産者への還元が行われるようになったのです。
 
 
このようにブラジルは、世界最大のコーヒー生産国であり、一部の熱心な生産者たちは品質向上への先駆的な取り組みをおこなってきました。
ブラジルコーヒーはスペシャルティの世界では、先進的な生産国とあまり見なされてはいないかもしれませんが、現在一部の農園で行われているような新しい取り組みが広がっていけば、今後再び、存在感を高めていくに違いありません。
 
今後もブラジルのスペシャルティコーヒーに注目です。
 
 
2023.12.29
CROWD ROASTER