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ドリッパー対決(2)「ハリオV60」VS「オリガミ」

ドリッパーごとによる違いを実際に比較することでレビューしていく本企画。

前回の記事では「ハリオV60」と「カリタウェーブ」を比較しましたが、第2弾は「ハリオV60」と「オリガミ」を比較したいと思います。

どちらも底面に大きな穴が一つ空いているタイプになります。
果たしてどのような味わいの違いが出るのでしょうか。

それぞれの構造の違い

まずは製品サイズを比べてみましょう。

今回はどちらも最大4杯取れる「ハリオV60 02」と、「オリガミM」で比較します。
 
【ハリオV60 02】
製品サイズ     幅137×高102mm 口径116mm
 
オリガミM
サイズ:幅138×高87mm 口径25mm

ハリオV60のほうが高さはありますが、オリガミのほうが、底面に空いている穴が大きいことがわかります。

この違いがどのような影響が出るのでしょうか。


形状


ハリオV60、オリガミ共に「円錐型」になります。
 
 
どちらの場合も形が円錐のため、抽出されたコーヒーが底に溜まることなく、スムーズに流れていきやすいと思います。


穴の数、大きさ


どちらも「大きい穴が1つ」空いています。
 
 
どちらも、注ぐお湯の太さを変えることで抽出されたコーヒーがサーバーに落ちるスピードが変わります。
細湯のほうがゆっくりと落ちるため、しっかりとした味わいになりやすくなります。逆に太湯だと早く落ちていくためスッキリとした味わいになりやすい傾向にあります。
どちらのドリッパーでも、注ぐお湯の太さによって味わいのコントロールをすることが可能です。


リブ(溝)


最大の違いは「リブ」にあります。
 
ハリオV60は「螺旋」のようなリブの作りになっています。
ドリッパー内部のリブ(凹凸)を高く上部までのばし、ペーパーとドリッパーの間に空間をつくり、”蒸らし“によるコーヒー粉の膨張を妨げず、空気がしっかり抜ける構造になっていると言います。

一方、オリガミは名前の通り「縦溝がまるでオリガミを折ったよう」にみえます。
20あるリブがドリッパーとペーパーの間に空間を作ることでお湯の抜けをスムーズにすると言われています。

どちらも空間を作るという意味合いでは同じですが、作りが全く違います。
この違いが味わいにどのような影響をもたらすのでしょうか。

実際に抽出してみた

それでは実際に抽出してみます。
コーヒー豆はどちらも同じ銘柄、同じ挽き目、湯温も統一し、可能な限り条件を同じにして抽出します。

銘柄は「エルサルバドル SL28 ウォッシュド 中煎り」を使用しました。
 
【抽出レシオ】
    ・豆量:25g
    ・抽出量:350ml
    ・湯温:89度
    ・蒸らし:45秒


抽出した印象


ハリオV60のほうがオリガミよりもドリッパーの高さがあるため、注げるお湯の量がオリガミよりも多い印象を受けました。

穴の大きさによる違いはあまり実感できませんでした。
 
 

味わいの印象


実際に抽出したコーヒーを飲み比べてみました。

ハリオV60のほうがクリーンでライトボディな味わいを楽しむことができましたが、フレーバーのボリュームが少し物足りない印象です。

オリガミは、V60よりボディをしっかりと感じられ、甘み、フレーバーの総量も多い印象を受けましたが、アフターに少し苦味が残りました。

抽出したコーヒーの色味も比較してみましたが、オリガミのほうが液色が濃くなりました。
 
左:ハリオV60、右:オリガミ
 
やはりハリオV60のほうが注湯量が多くなった影響でクリーンカップに仕上がったのだと思います。

クリーンで優しいコーヒーが好みの方はハリオV60、しっかりとしたフレーバーを楽しみたい方はオリガミがおすすめです。

いかがでしたでしょうか?
 
今回はその器具ごとに最も適した抽出方法で比較したわけではなく、同じ方法で淹れた場合、どのような違いがでるかを検証してみました。
銘柄の特徴やその日の気分によって、ドリッパーを使い分けてみることで今までとは違ったコーヒーの楽しみ方を体験できると思います。

比較してみてほしい器具や、検証してみてほしいことがあれば、編集部まで、ぜひご連絡ください。

これからもコーヒーにまつわる様々な検証をしてまいります!
 

2023.07.16
Hiroto Usukura