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ブラックコーヒーの抽出を競う世界大会

CROWD ROASTERに、ジャパン ブリューワーズ カップ(JBrC)チャンピオンの小野光さんが焙煎士として参加しました。
今回はこの大会、そして世界大会であるワールド ブリュワーズ カップ(WBrC)について、ご紹介します。
 
2023年のワールド ブリュワーズ カップの表彰式

世界大会の代表を選ぶ国内大会「JBrC」

ジャパン ブリューワーズ カップ(JBrC)は、2014年からに開催されることとなったコーヒー抽出の国内競技会です。日本ではすでに、ペーパー・ネルドリップに特化したジャパン ハンドドリップ チャンピオンシップ(JHDC)が行われていましたが、より幅広い抽出器具の使用ができる、ワールド ブリューワーズ カップ(WBrC)の国内大会として、この大会がスタートしました。

JBrC優勝者には、日本代表としてWBrCへ出場の権利が与えられます。

ブラックコーヒーの抽出を競う世界大会「WBrC」

そのWBrCは、2011年から毎年開催されている大会です。ワールド バリスタ チャンピオンシップ(WBC)やワールド コーヒーロースト チャンピオンシップ(WCRC)などとあわせて開催される大会で、これらと同様にワールド コーヒー イベンツ(World Coffee Events)が主催します。

ワールド ブリュワーズ カップは、エスプレッソマシンなどの機械的動力を一切用いず、ペーパードリップ、ネルドリップ、フレンチプレス、エアロプレスといった手動の器具のみを用いることができます。

競技者が自身で選択し抽出技術を競う競技会であるため、そこから生み出されるコーヒーの味わいもさまざま。コーヒーの魅力をどのように引き出すか、技術や知識とともに、競技者の個性と創意工夫が問われます。
 
2022年に日本代表としてWBrCに出場した小野光さん


簡単に言えば、この大会では、手作業で淹れたブラックコーヒーの味が競われることになります。

競技者は、器具の選択とコーヒーの選定(ブレンドも可能)はもちろんとして、カスタムウォーターと呼ばれるミネラルを調整した水、粉砕した豆の粒度や微粉のコントロールなどなど、さまざまな要素を細かく調整して生み出される、最高のブラックコーヒーで頂点を目指します。

競技の内容は?

ワールド ブリュワーズ カップの予選は必修サービスとオープンサービスの2つの競技が行われ、決勝はオープンサービスのみが行われます。

どちらの場合も、コーヒー豆を粉砕するためのグラインダーや抽出器具、カップなど、競技で使用する器具を持ち込むことができます。

前述のように抽出器具は手動であることが条件となっており、その選択が競技者の独自性の一つとなります。

コーヒーの条件としては、エスプレッソと区別するために、TDS2%以下でなければならないということだけです。

TDS(Total Dissolved Solid)とは、抽出されたコーヒーの中にどれだけコーヒー成分が含まれているかを数値化したもので、濃度のことを指します。エスプレッソはTDS10%近くありますが、スペシャルティコーヒー協会が定めた一般的なドリップコーヒーのTDSは1.15〜1.35%です。

必修サービスとオープンサービス

必修サービスでは、大会主催者側から提供されたコーヒー豆を使用して、審査員のために3杯のコーヒーを用意します。香り、風味、後味、酸味、ボディ、バランスなどに基づいて評価され、100点満点で集計されます。

オープンサービスの場合には、競技者は自分で選んだコーヒー豆を抽出することに加えて、プレゼンテーションの時間が与えられます。コーヒー豆の産地から抽出方法、テイスティングノートなどを説明するプレゼンテーションも採点対象され、オープンサービスは140点満点で集計されます。

予選を通過した6名が決勝に進むことができ、決勝ラウンドではオープンサービスのみで競技が行われ、最高得点を出した選手がチャンピオンとなります。

JBrCでのルールは?

日本での競技もWBrCのルールに則り行われます。競技会は予選競技会と、準決勝/決勝競技会で構成されています。予選競技会では必修サービスとして競技者は公式の焙煎豆を使用、純粋に味覚のみが評価されます。

また、準決勝/決勝競技会では、オープンサービスとして競技者それぞれが焙煎豆を持ち寄り、その豆の魅力を抽出技術とプレゼンテーションによってアピールします。

なお、ルールについては世界大会、日本大会ともに、改訂されていますので、最新の情報をご確認ください。
 

WBrCでは日本のバリスタの活躍も目立ちます。2016年には粕谷哲さんがアジア人初のチャンピオンに。2021年には畠山大輝さんが2位に輝きました。

今後も、日本の選手たちの活躍を期待しつつ大会に注目していきたいと思います。
また、小野光さんに世界大会の潮流についてご紹介いただくコンテンツもお届けしたいと思います。
お楽しみに!


2023.8.26
CRWD ROASTER