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コーヒー豆の保存は、どのような状態がベストか?

 
焙煎されたコーヒー豆を買う時、豆のままか、粉に挽いたものか、皆さんはどちらでしょうか。
コーヒーを保存することを考えれば、豆のままがいいのは間違いないでしょう。

コーヒーの保存について、まずは豆と粉の状態の違いについて見てみます。

粉では劣化のスピードが段違いに速い

豆と粉の状態を比べると、粉の方が劣化が数倍早いとされています。

コーヒーの劣化といえば、酸化のイメージがあると思いますが、以前の記事でも取り上げた通り、焙煎豆の酸化は比較的進みが遅く、豆のままでは数週間単位でようやく変化が明確になる程度です。

変化の主な原因は「酸性化」によるもので、湿度や湿度が高ければ進みやすく、イヤな酸味が生じる元となります。
いわゆる劣化の一部ですが、その要因となる酸素や水分からコーヒーを守っているのが豆に含まれている二酸化炭素です。

その二酸化炭素は、コーヒー豆を粉砕して粉にした時に、その多くが失われます(およそ70パーセントが失われるとも)。
残った二酸化炭素も、粉の状態では、さらに失われていってしまいます。
 
 
また、二酸化炭素が失われる際には、コーヒーに含まれる香り成分もあわせて失われてしまいます。

つまり、粉の状態では、コーヒーが劣化するだけでなく、香りが失われる速度も格段に速くなってしまうのです。

ちなみに、よくコーヒーが新鮮である証とされる、ドリップの蒸らしの際に粉が膨らむのも二酸化炭素によるものなので、焙煎後、同じ時間が経った同じコーヒーであれば、豆より粉の方が膨らみが弱くなるでしょう。

なお、どれだけ膨らむかは、焙煎度やコーヒーの品種や状態によって変わるので(浅煎りの方が膨らみは弱い)、焙煎後すぐでもあまり膨らまないコーヒーもあります。

良い保存状態は、気密状態で低温

コーヒーの粉を密閉された状態で保管すれば、二酸化炭素の放出を遅らせることはできますが、防ぐことはできないので、やはり豆の状態よりも速く劣化が進みます。そのため、豆と粉を比べれば、豆のままの状態が断然によいとされるのです。。

ただし、豆の状態でも二酸化炭素と香りは徐々に失われていきます。
繊細な香りを特色とするコーヒー豆であれば、その特徴が失われてしまうこともあります。

そのため、保存の方法として、二酸化炭素などの気体の出入りを防ぐ、気密状態がいいとされます。
繊細な香りのコーヒーは、バルブ付きの気密性の高い袋に入れたり、密封したビンに詰めたりする形で、販売されることが多いと思います。
袋のバルブはワンウェイバルブといって、二酸化炭素の放出による袋の破裂を防ぐために、袋の内側の気体を外に逃すことができるものです。

気密を保つ以外に劣化を防ぐ効果があるとされるのが、低温状態を保つことです。
高温では劣化が進みやすいからです。

そこで冷蔵・冷凍という選択肢が出てきますが、この方法で問題となるのが室温に戻す時。
冷蔵庫から出した時に、温かい湿った空気に触れると、豆が一気に吸湿して水分を持ってしまいます。
この状態の変化により劣化が起こります。

やむをえず長期保存をするのでなければ、無理に冷蔵・冷凍する必要はないともいえます。

焙煎後にすぐ飲む方がいい?

 
焙煎したコーヒー豆を保存する際には、粉ではなく豆のままがよく、飲む直前に挽くことがベストでしょう。
 
では、焙煎したコーヒー豆は、焙煎後にすぐ飲むことがいいのでしょうか。
焙煎後、時間が経てば香り成分も失われ、外的要因での劣化も進むとなれば、早く飲むことがもっともいいように思われます。
しかし、ここがコーヒーの面白いところで、焙煎後、少し時間が経った方が、味が落ち着いて、そのコーヒーの特徴がよりはっきりしたり、飲みやすくなったりすることもあるのです。
 
焙煎後、数日から2週間ほど経ってから飲むことを勧めるロースターさんが多いのはそのためです。

コーヒー豆は焙煎後も、時間とともに状態がどんどん変化していきます。
焙煎後、どのくらい経ったものが美味しいのかは、環境や豆の状態、また飲む人の好みによっても変わってきます。
 
密閉した環境で適切に保存して、時間とともに起こる変化を味わってみる。
そんな楽しみ方をするのも面白いのではないでしょうか。
 
 
2024.2.7
CROWD ROASTER