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「Best of Panama」常連の名門、ハートマン農園【世界の名農園】

世界に数限りなく存在するコーヒー農園。
グローバル企業が経営する大農園から、庭先にコーヒーを植えているような超零細の農家まで、世界の生産地にはさまざまな規模の、さまざまな形態のコーヒー農園がある。
 
そうした数多の農園の中で、トレーサビリティや地域性を重視するスペシャルティコーヒーという考え方の隆盛にともなって、世界的に有名となったコーヒー農園が出現した。
 
そのなかでも別格といえるような、世界の「名農園」を紹介していくこの連載。
今回はパナマのハートマン農園と、ハートマン家の所有する農園について紹介する。
 

最高のパナマ ゲイシャの称号を獲得

ハートマン農園はパナマ西部、チリキ県レナシミエント地区のサンタクララにある農園。この地域は、コスタリカの国境も近い、人里離れた山岳地帯だ。この農園を開いた、ハートマン家は3世代にわたってコーヒーづくりを営んできた。

近年、ハートマン家の農園は、ベスト・オブ・パナマ(Best of Panama)での躍進が素晴らしく、そのゲイシャの品質は世界中で知られるようになっている。
 
<ナチュラルプロセスのゲイシャをチェックするハートマン家のラティボールJr.とテッシー>

「ベスト・オブ・パナマ」のゲイシャ ナチュラル部門では、2020年にハートマン家が所有するグアルモ農園が1位、2021年は2位に輝き、2022年に再び1位とともに、ハートマン農園自身も5位に。そして2023年はVarietals部門(ゲイシャ以外)で「ミ・フィンキータ」というブランドのコーヒーが1位を獲得。ハートマン家の農園は立て続けに上位を獲得しているのである。

ハートマン家では、「Growing coffee in harmony with the environment」(自然との調和のなかでコーヒーを育てる)をモットーとしており、創業当初から自然と土地を大切にし、環境との「調和」を第一に考えて、一貫した理念と情熱をもってコーヒーづくりを行っている。

ハートマンファミリーの歴史

現在のチェコからパナマに移住してきたハートマン家。初代アロイスが、第一次世界大戦後にコーヒー農園をはじめ、2代目であるラティボールが、父から受け継いだ土地をもとに、1940年、現在のハートマン農園を創業した。
 
<初代アロイス。人里離れたサンタクララに最初に住んで農園を開いた>

ラティボールは5人の子供(ラティボールJr.、アラン、アレクザンダー、アリス、ケリー)に恵まれ、現在は4人の兄弟姉妹が農園の運営管理と、農園の自然を生かした観光事業を手分けして担当している。
コーヒーの品質管理はQグレーダーの資格を持つ農園主ラティボールJr.が担当している。

ハートマン農園では、ゲイシャの他にカトゥーラ、マラゴジッペ、パカマラ、エチオピア在来種などを栽培。エチオピア在来種は、エチオピア南部のアマロガヨから持ち込んだ品種を、父親のニックネームだった「チチョガロ」(タフガイ)と名付けて栽培をはじめたものだ。
 
<森の中にあるハートマン農園。敷地内ではエコツアーも行われている>

ここは保全された自然環境を生かして、エコツーリズム農園としても知られている。農園の標高は1260m〜1500m。広大な熱帯雨林に囲まれており、自然のシェードツリーの下でコーヒーがゆっくり成長する。

ラティボールは鳥を愛好しており、コーヒー農園は森のなかで鳥類も数多くやってくるような環境でなければならないと考えている。そのため、ハートマン農園のシンボルロゴには、鳥のイラストが用いられている。
 
<ハートマン農園のシンボルマーク>

スペシャルティに特化した新農園

さらにハートマン家は、近年のスペシャルティコーヒーの需要に応えるため、新たな農園を創業。このプロジェクトから、グアルモ・コーヒー農園(Guarumo Coffee Farm)、ミ・フィンキータ(Mi Finquita)、エル・イゴ農園(Finca el Higo)がつくられた。
 
<グアルモの農園主ラティボールJr.(右)とテッシー・ハートマン>

ベスト・オブ・パナマで1位を獲得しているグアルモ農園は、ラ・アミスター国立公園に隣接する自然豊かな農園で、標高は、1,750m。東はバル火山に面し、南東に太平洋の素晴らしい景色を望む。水はけのよい砂壌土の土壌で、ゲイシャの栽培に適しており、他にも AF-2、チチョガロ、ベロヤ、AR-36、モカ、ピンクブルボンといっためずらしい品種を栽培している。
 
<標高が高く景色も素晴らしいグアルモ農園>

このグアルモ農園をはじめとした新しい農園では、品種や精選方法もさまざまで、実験的に栽培・精選も行われており、ここから次世代を担うような、新たな品種や精選方法が生まれるかもしれない。

これからも注目していきたい農園である。
 
 

CROWD ROASTERで飲める「Best of Panama」のハートマンコーヒー


ハートマン農園をはじめとするパナマ コーヒーの名園の中から、パナマ ゲイシャの希少ロット3種を、東京・千駄木「ignis」の焙煎士、土橋永司さんが焙煎した「LUNA DE PANAMA BOX」が登場。

「Best of Panama」に毎年のように入賞している、トップ中のトップである3農園のコーヒー【アルティエリ ゲイシャ】【ジャンソン ゲイシャ】【ハートマン ミ・フィンキータ チチョガロ】を贅沢にパッケージした飲み比べセットだ。


土橋さんが「圧倒的」と評し、「フレーバー強度も、味の複雑さも、余韻の長さも、酸味の質もスイートネスの高さも、圧倒的においしい」と太鼓判を押すコーヒーは、世界的にみてもほとんど流通していない。

特に「ハートマン ミ・フィンキータ チチョガロ」は、2023年の「Best of Panama」のVarietals部門(ゲイシャ以外)で1位を獲得。前年のVarietals部門でも最も高い価格がついた注目の品種となっている。

CROWD ROASTERでも数量限定でのご提供となる。ぜひこの機会にパナマ ゲイシャの真髄をおためしあれ。



 
 
2024.02.03
CROWD ROASTER