STORY

ハンドドリップの修正術 (3) お湯の太さ

ハンドドリップを始めてから10年以上経つ、元バリスタが現段階で考える「ハンドドリップの修正術」についてお伝えする本企画。

以前の記事では「コーヒーの挽き目」についてお伝えいたしました。
第3回は「お湯の太さ」についてです。
 

注ぐお湯の太さで味わいをコントロールする

抽出を行う際に注ぐ時のお湯の太さを気にせずに抽出している方も多いのではないでしょうか。

実は「お湯の太さ」でも味わいをコントロールすることができます。

最初の1杯を抽出した時に、よりスッキリさせたい場合は「太湯」で、しっかりめに出したいときは「細湯」で抽出することで味わいを調整することが可能です。

お湯の太さをコントロールするには、ポットの扱いも重要になります。
こればかりは数をこなすことで、どれくらいポットを傾けたら、どのようなお湯の太さで出てくるのかを、経験値として貯めていくしかありません。

太湯はスッキリ、細湯はしっかり

太湯で注ぐことで、なぜスッキリめの味わいになるのでしょうか。
それは、太湯でお湯を注ぐことでコーヒーの抽出時間が早まるからです。

抽出時間が早まる分、コーヒーとお湯が接触している時間が短くなり、コーヒーの成分をしっかりと出し切る前に抽出が終了します。
そうすることで、スッキリとした印象の味わいになりやすくなる傾向にあります。

逆に細湯でお湯を注ぐと、じっくりと時間をかけて、コーヒーを抽出するため、コーヒーが持っている多くの成分をしっかりと取り切ることができ、しっかりめの味わいになりやすい傾向にあります。

ただし、細湯で注ぐことは、コーヒーが持っている渋味や雑味も引き出しやすくなるため、抽出する際には注意が必要です。
 
 
湯温や挽き目と違い、お湯の太さをコントロールするためにはポット技術が必要になるため、いきなりお湯の太さで味わいをコントロールすることはおすすめしません。
しかし、コーヒーを抽出する時の最も大事な要素といっても過言ではない、お湯の通り方をコントロールできる「湯の太さ」。

これを巧みに扱えるようになることで、味わいのコントロールの幅は大きく広がります。
そうすることでより自由度の高い抽出ができるようになります。
 
いかがでしたでしょうか?
1回目の「湯温」、2回目の「挽き目」、そして今回の「お湯の太さ」。
この3つを駆使するだけでも幾通りもの抽出ができると思います。
ぜひ、様々な組み合わせを試し、自分だけのレシピを生み出してみてください。

今後もハンドドリップについてお話していければと思います。
 

2023.5.31
Hiroto Usukura