さまざま存在するコーヒーの銘柄、その名称を読み解くこの連載。前回は、日本における「特定銘柄」についてご紹介しました。
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日本において人気の銘柄で、正確ではない表記をされることが問題となったために生まれた特定銘柄。スペシャルティコーヒーでは、例えば「ブルーマウンテン」などといったブランド名よりもさらに詳細なトレーサビリティが要求されるため(農園名やウォッシングステーション名)、あまり気にされない場合が多いかもしれません。
日本において人気の銘柄で、正確ではない表記をされることが問題となったために生まれた特定銘柄。スペシャルティコーヒーでは、例えば「ブルーマウンテン」などといったブランド名よりもさらに詳細なトレーサビリティが要求されるため(農園名やウォッシングステーション名)、あまり気にされない場合が多いかもしれません。
今回ご紹介する「グレード(等級)表記」は、アルファベットや数字で表されることが多く、「ケニア AA」や「グアテマラ SHB」といったように、銘柄にもそのまま表示されることがあります。
このグレードは、生産国によって定められているもので、おもに輸出のための生豆の規格として定められたものです。国によっては、スペシャルティコーヒーに適用されることもあります。
グレードの評価方法は国によって異なりますが、次のような基準、もしくはその組み合わせで評価されます。
・産地の標高(高い方が優良)
・生豆の大きさ(スクリーンサイズ、大きい方が優良)
・欠点豆の数(少ない方が優良)
輸出のための等級ですので、基本的には味わいについての評価ではなく、生豆自体の品質についての評価となっています。
では、ここからは代表的な生産地のグレードについて、具体的に見ていきます。
標高で評価するグアテマラ、コスタリカ、エルサルバドル
一般的に、産地の標高が高いほど、昼夜の寒暖差によってコーヒーの実が締まり、ゆっくりと時間をかけて熟していくために品質がいいとされます。
グアテマラで、最高グレードは標高4500~5000フィート(約1350~1500メートル)で生育されたコーヒーで、SHB(ストリクトリー・ハードビーン)と呼ばれます。コスタリカでは、3900~5400フィート(約1170~1620メートル)で収穫されたもので同じくSHBと呼ばれます。
グアテマラで、最高グレードは標高4500~5000フィート(約1350~1500メートル)で生育されたコーヒーで、SHB(ストリクトリー・ハードビーン)と呼ばれます。コスタリカでは、3900~5400フィート(約1170~1620メートル)で収穫されたもので同じくSHBと呼ばれます。
グアテマラ
Strietly Hard Bean(SHB):4500フィート以上
Hard Bean(HB):4000~4500フィート
Semi Hard Bean(SH):3500~4000フィート
Extra Prime Washed(EPW):2500~3000フィート
Prime Washed(PW):2500~3000フィート
Extra Good Washd(EGW):2000~2500フィート
Good Washd(GW):2000フィート以下
Hard Bean(HB):4000~4500フィート
Semi Hard Bean(SH):3500~4000フィート
Extra Prime Washed(EPW):2500~3000フィート
Prime Washed(PW):2500~3000フィート
Extra Good Washd(EGW):2000~2500フィート
Good Washd(GW):2000フィート以下
コスタリカ
Strietly Hard Bean(SHB):約1200~約1650m未満
Good Hard Bean(GHB):約1000~約1200m未満
Hard Bean(HB):約800~約1000m未満
Good Hard Bean(GHB):約1000~約1200m未満
Hard Bean(HB):約800~約1000m未満
*太平洋側の標高が高い産地の等級
エルサルバドル
Strietly Hard Grown(SHG):約1200m以上
High Grown(HG):約900~約1200m未満
Central Standard(CS):約600~約900m未満
High Grown(HG):約900~約1200m未満
Central Standard(CS):約600~約900m未満
スクリーンサイズで評価するコロンビア、ケニア
銘柄の表記で見かけるコロンビアの「スプレモ」とは、スクリーンサイズによる上位の等級です。スクリーンとは、豆の大きさの単位で、これも生産地によって違いがありますが、コロンビアのスクリーン17は、6.8mm以上の直径の生豆となります。ケニアもスクリーンサイズで等級分けされます。
コロンビア
Spremo(スプレモ):スクリーンサイズ17(6.8mm)以上
Excelso(エキセルソ):スクリーンサイズ16(6.4mm)以下14(5.6mm)以上
Excelso(エキセルソ):スクリーンサイズ16(6.4mm)以下14(5.6mm)以上
ケニア
AA:スクリーンサイズ17(6.8mm)以上
AB:スクリーンサイズ15(6.0mm)~17
C:スクリーンサイズ11(4.4mm)~15
E(エレファント):AAよりも大きい
AB:スクリーンサイズ15(6.0mm)~17
C:スクリーンサイズ11(4.4mm)~15
E(エレファント):AAよりも大きい
欠点豆の少なさで評価するブラジル、エチオピア
エチオピアはシンプルに、欠点豆の個数で等級付けされています。ブラジルでは、ランダムに抽出された300gのサンプルの中に存在する、欠点豆の種類と個数を点数化。減点の少ないほどグレードが上がります。ちなみに減点のないNo.1は実質存在しないグレードとなっています。
エチオピア
G1:300g中の欠点豆が0~3個
G2:300g中の欠点豆が4~12個
G3:300g中の欠点豆が13~27個
G4:300g中の欠点豆が28~45個
G5:300g中の欠点豆が46~90個
G2:300g中の欠点豆が4~12個
G3:300g中の欠点豆が13~27個
G4:300g中の欠点豆が28~45個
G5:300g中の欠点豆が46~90個
*G1はイルガチェフェ地区のウォッシュドの一部に対してつけられる。国内向けにはG6〜G9まで
ブラジル
No.2:4点以下
No.3:8点以下
No.4:26点以下
No.5:46点以下
No.6:86点以下
No.7:160点以下
No.8:360点以下
No.3:8点以下
No.4:26点以下
No.5:46点以下
No.6:86点以下
No.7:160点以下
No.8:360点以下
*他にスクリーンサイズ、カップ(味わい)の評価基準も存在する
複合的に評価するジャマイカ、ハワイコナ
スクリーンサイズや欠点豆数を合わせて、評価基準が作られている地域もある。ブルーマウンテンが上位に位置するジャマイカや、Extrafancy(エクストラファンシー)が最上位となるハワイコナなどがその例。
ジャマイカ
Bluemountain No.1:ブルーマウンテン地域で生産され、スクリーンサイズが17(6.8mm)~18(7.2mm)未満
Bluemountain No.2:ブルーマウンテン地域で生産され、スクリーンサイズが16(6.4mm)~17未満
Bluemountain No.3:ブルーマウンテン地域で生産され、スクリーンサイズが15(6.0mm)~16未満
Bluemountain Select:ブルーマウンテン地域で生産され、欠点豆が一定の基準値を超えているもの(許容範囲内)
Pea Berry:ピーベリーのみ
High Mountain:ブルーマウンテン以外で標高1000~1200m未満の生産地域のもの
Prime Washd:上記の地域以外で生産されたもの
Select:欠点豆が一定の基準値を超えているもの(許容範囲内)
Bluemountain No.2:ブルーマウンテン地域で生産され、スクリーンサイズが16(6.4mm)~17未満
Bluemountain No.3:ブルーマウンテン地域で生産され、スクリーンサイズが15(6.0mm)~16未満
Bluemountain Select:ブルーマウンテン地域で生産され、欠点豆が一定の基準値を超えているもの(許容範囲内)
Pea Berry:ピーベリーのみ
High Mountain:ブルーマウンテン以外で標高1000~1200m未満の生産地域のもの
Prime Washd:上記の地域以外で生産されたもの
Select:欠点豆が一定の基準値を超えているもの(許容範囲内)
ハワイコナ
Extrafancy:スクリーンサイズが19/64インチ(約7.5mm)以上、かつ欠点豆が1ポンド(約453g)のうち10粒以下
Fancy:スクリーンサイズが18/64インチ(約7.1mm)以上、かつ欠点豆が1ポンドのうち16粒以下
No.1:スクリーンサイズが16/64インチ(約6.4mm)以上、かつ欠点豆が1ポンドのうち20粒以下
Select:欠点豆が1ポンドのうち5%以下
Prime:欠点豆が1ポンドのうち25%以下
Fancy:スクリーンサイズが18/64インチ(約7.1mm)以上、かつ欠点豆が1ポンドのうち16粒以下
No.1:スクリーンサイズが16/64インチ(約6.4mm)以上、かつ欠点豆が1ポンドのうち20粒以下
Select:欠点豆が1ポンドのうち5%以下
Prime:欠点豆が1ポンドのうち25%以下
代表的な産地のグレードとその定義について紹介してきました。銘柄に含まれる「SHB」「AA」「No.2」といった表記は、このグレード由来のものであることが理解されたと思います。
銘柄の構成要素はさらにこの後の記事でも深掘りしていきます。
2023.6.1
CROWD ROASTER