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ブルボン種とは? アラビカ種二大品種のひとつ、ブルボンのたどった道のり

アラビカ種の二大品種の一つ

以前の記事で、コーヒーノキの品種についてお伝えしてきましたが、今回はアラビカ種の二大品種であるティピカとブルボンのうち、ブルボンについてです。

ちなみに前回の記事でお伝えした通り、この品種とは植物学上の種ではなく、「栽培品種」のことです。

アラビカ種の中でも、この二つの栽培品種が二大品種とされるのは、現在栽培されているコーヒーの品種の多くが、この二つの系統から派生したものだからです。

また、ブルボン自体も少なくはなったものの、現在でも栽培されており、コーヒーとして飲むことができます。

まずは、この品種が世界に広まっていった歴史から紹介します。

イエメンから持ち出された二大品種

ブルボンもティピカも、どちらもイエメンから持ち出されたコーヒーの子孫です。

コーヒーが人の手により栽培されるようになった起源は正確にはわかっていませんが、15世紀にコーヒーの利用が始まったイエメンでは、15世紀後半には本格的に栽培されていました。

この地を支配下に置いたオスマン帝国やイスラム・シーア派王朝は、コーヒーの木や種子の持ち出しを禁止していたと言われますが、17世紀後半にはインドに持ち出されて栽培されており、そこからジャワ島に移植されたのがティピカの系統となります。

一方、ブルボンは、18世紀初頭にフランスの商人にイエメン国王が下賜した、コーヒーの苗木がその起源とされています。

この苗木はフランスが開拓中の植民地である、レユニオン島(ブルボン島)に送られ、栽培が開始されましたが、環境や気候が違うために生き残った苗木は1本だけだったと言われます。

自家受粉可能なアラビカ種であることから、この木の子孫は島内で増えていき、レユニオン島はフランス植民地で最初にコーヒー栽培に成功した場所となりました。

そして、この1本の木の子孫が「ブルボン」なのです。

中南米にもアフリカにも広まる

 
19世紀半ばにブルボンは、レユニオン島からブラジル・サンパウロに持ち込まれました。ここでは環境も合ったために広く栽培されるようになり、やがて中南米で中心的に栽培される品種となりました。

さらにフランス宣教団によって東アフリカにもブルボンが持ち込まれ、ケニアやタンザニアで栽培されている、SL28やSL34といった栽培品種は、このブルボンから選抜されたと言われています。

また、ブルボンの突然変異種として、カトゥーラやパーカスが中米で生まれました。これらを交配した栽培品種はさらに数多く誕生しています。
 
しかし、ブルボン自体はやがて、コーヒーさび病の耐性もなく、交配で生み出された栽培品種よりも生産性に劣ることから、風味は優れると評価されていたものの、新しい品種への植え替えが進んでいったのです。

ブルボンの特徴

熟した実が黄色のイエローブルボン
 
ブルボンのコーヒー豆の見た目の特長は、そのサイズです。他の品種と比較すると、ブルボンは小ぶりな傾向にあります。コーヒーチェリーは赤色が基本ですが、黄色いものも存在します。黄色のコーヒーチェリーはイエローブルボン(アマレロ)と呼ばれ、希少なコーヒー豆として取引されています。

ブルボンの味わいは、しっかりとしたコクを感じられ風味が豊かな味わいと言えるでしょう。芳醇で、甘味も感じられます。特にイエローブルボンは、通常のブルボンよりも甘味が強く引き立つと言われています。

ブルボンのコーヒーは、もともとさまざまな国で栽培されていました。しかし、現在ではより生産性の高い他のコーヒー豆の栽培に転換した国が多く、現在では希少な品種となってきています。現在のブルボンの生産国は、南米のブラジルや中米のグアテマラの他、東アフリカのルワンダなどが有名です。
 

ブルボンのコーヒー銘柄を味わおう

 
CROWD ROASTERでは、ブラジルのブルボンをアナエロビックナチュラルで仕上げた貴重な銘柄【SJBA】と、コロンビアのイエローブルボンをゴールドウォッシュという精選方法で仕上げた【YBB】という2銘柄を取り扱っています。
 
どちらも高品質なブルボンをベースにした、個性的な銘柄。
ブルボンのコーヒーが気になった方はぜひお試しください。下記から銘柄の詳細をご覧いただけます。