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コーヒーの焙煎度とはどんな指標なのか


コーヒーの味を決める重要な焙煎の工程

コーヒーの果実の種子である、コーヒー豆。生豆は淡緑色で、コーヒーらしい味も香りもなく、これに熱を加えて「焙煎(ロースト)」することではじめて、色や香りと味のある、飲むことのできるコーヒーとなる。

つまり、「焙煎」はコーヒーの味や風味を決める非常に大切な工程であり、その焙煎を司る、焙煎士の技術や考え方にはもっとフォーカスが当たるべきだと私たちは考えている(そのため、CROWD ROASTERというサービスは焙煎にフォーカスしている)、という内容はこれまでも述べてきた通り。

その上で、今回のテーマ「焙煎度」について。
コーヒーの風味は、豆に含まれる成分が加熱されて化学変化を起こすことで生まれる。その加熱の時間や熱の加え方によって、苦味や酸味などの元となる成分の引き出され方が異なるため、コーヒーの味は変化する。

そのために、そのコーヒーがどのような焙煎がされたのかというのは、とても重要だ。
「焙煎度」はその一つの指標となるものといえる。
ただ、焙煎度に共通の基準というものは存在しない。あくまで目安であるということを知っておいてほしい。

深い関係がある焙煎度と香りや味

焙煎度は、コーヒー豆にどれくらい熱量を加えたのかの指標であり、一般的には焙煎を行った時間と比例する。
熱量が少なければ、焙煎度は浅く、大きければ焙煎度は深くなる。
焙煎度が浅ければ、コーヒー豆の色は薄く、深ければ色が濃くなり油分も滲み出てくる。

これは異なる焙煎度の豆を見たことのある方なら、イメージしやすいだろう(繰り返しになるが、この色になったらこの焙煎度である、という明確な基準は現在のところ存在しない)。

焙煎度により、味の傾向も変化し、焙煎度が浅ければ、酸味が強く、苦味が弱い傾向があり、焙煎度が深ければ、苦味が強く酸味が弱い傾向にある。
 

浅い焙煎の特徴

酸味が強く、銘柄によってはフルーティーさなどが出る。その豆が持つ香りが幅広くあらわれる。口当たりやボディは軽い。
 

深い焙煎の特徴

苦味が強くなり、香りはロースト由来の香ばしさなどが強くなってくる。口当たりには濃厚さが出て、ボディもしっかり出てくる。
大まかにいえばこのような傾向があるので、もしこれから好みのコーヒーを探したいという人には参考にしてほしい。

8段階の焙煎度

焙煎度は、大きく分けると、浅煎り・中煎り・(中深煎り)・深煎りとなる。

より細かい段階分けとして、日本では8段階の区分が使われることが多い。すなわち、ライトロースト、シナモンロースト、ミディアムロースト、ハイロースト、シティロースト、フルシティロースト、フレンチロースト、イタリアンローストである。

CROWD ROASTERもこの8段階で焙煎度を表示している。
これは焙煎士がより細かいニュアンスを表現できるようにという理由から。
もちろんこの焙煎度の判断は、それぞれの焙煎士が行うものなので、同じ焙煎度でも、焙煎士が違えば焙煎度が異なることはある。

ちなみにこの8段階の区分けは、古い時代のアメリカで使われていたものを参考にしているといわれ、国ごとの好みを示した名称(フランス、イタリア)もあり、また「シティ」はニューヨーク・シティで好まれた焙煎度だといわれている。

それではあくまでも目安にはなるが、一番浅煎りとなるライトローストから、深煎りとなるイタリアンローストまで、CROWD ROASTERで使用している焙煎度を示すアイコンとともに、簡単に8段階の詳細を示す。

先述の通り、コーヒー豆の色で明確な基準があるわけではないので、焙煎の進行段階にある1ハゼ、2ハゼとの関係を述べてみる。1ハゼは、豆の水分が飛んだ後に炭酸ガスにより膨張し、パチパチと弾ける音が聞こえる段階、さらに焙煎が進み色が濃くなり油分も出てくる状態でピチピチと高い音が聞こえるのが2ハゼとなる。
(焙煎の進行について詳しくは別の記事で解説する)
 
1. ライトロースト
最も焙煎が浅く、1ハゼ前後。豆はうっすらと色づく程度。

2. シナモンロースト
ライトより少し焙煎が進んだ状態で、浅煎り。名称は豆がシナモン色となる状態というところから。

3. ミディアムロースト
ここから中煎りとなる。1ハゼが終わり2ハゼの手前。アメリカンローストともいわれる。

4. ハイロースト

2ハゼの最中、もしくはその前後。少し進んだ中煎りで、中深煎りとされることも。

5. シティロースト

ここからが深煎り。2ハゼは終わり、色もかなり濃くなる。シティの名称はニューヨークシティから来ている。

6. フルシティロースト

2ハゼが収束してさらに焙煎が進んだ状態。油分により表面に光沢。

7. フレンチロースト

豆の表面に油分がかなり染み出してくる。

8. イタリアンロースト

さらに油分が表面に出てくる。炭のような色になる。
 

ここまで、あくまで目安にはなるが、8段階の焙煎度を紹介してきた。参考にしていただければと思う。

実際は焙煎時の温度や豆の状態・時間などにより化学反応の進み具合は異なってくる。また、焙煎士の判断もそれぞれ。
これだけでも焙煎の世界がいかに深いかが理解していただけると思うが、今後、この世界に焙煎士の皆さんの協力も得ながら、深掘りしていくので、ぜひ楽しみにしていてほしい。