東海道新幹線の東京〜京都間を走る「のぞみ」の一車両に、日本を代表するバリスタである石谷貴之さん、小坂田祐哉さん（Raw Sugar Roast）、西尾逸平さん（Direct Coffee Kyoto）の3人が乗り込み、トップオブトップのスペシャルティコーヒーを提供する。
コーヒー好きにとって、そんな夢のような企画が、東海道新幹線開業60周年記念「スペシャルティコーヒー新幹線」として、12月7日午前11時18分に東京駅を出発します。
実は、この「スペシャルティコーヒー新幹線」は、コーヒーを愛するひとりのJR東海社員のアイデアを、東海道新幹線開業60周年の企画として実現させたものなのです。
CROWD ROASTERに参加する石谷さん、小坂田さんのお二人も乗車するこの企画は、どのように実現したのか。
発案者であるJR東海の赤塚由記さんと、企画運営を担当するJR東海営業本部の平嶋佑亮さんにお話を伺いました。
JR東海営業本部の平嶋佑亮さん（左）と赤塚由記さん
スペシャルティコーヒーへの情熱が生んだ企画
──まず、今回の企画がどのようにスタートしたのかを教えてください。
平嶋さん：私の所属している営業本部では、個々の社員の人脈や知見を生かして、何か新しい取り組みができないかと考え、「営業施策アイデアボックス」として、社員からさまざまなアイデアを募集しました。ここに赤塚さんが、コーヒー新幹線の企画を応募してくれました。
赤塚さん：私は普段、在来線の人事を担当しています。「営業施策アイデアボックス」の募集を見て、自分にしかない人脈や経験って何だろうと考えたとき、この数年ですごくハマったコーヒーについて、培った時間や人との関係性、コーヒーの知識、そういったものを活かせないかと思い、応募させていただきました。
──赤塚さんはどのような思いで企画のアイデアを考えたのでしょうか？
赤塚さん：ひとつには、「こんなにフルーティーで、おいしい飲み物があるんだ」というスペシャルティコーヒーを初めて飲んだ時の驚きを、多くの人に伝えたいという思いがありました。新幹線とのコラボレーションによって、多くの方に興味を持ってもらえるのではないかと考えました。
それに、新幹線とコーヒーって何か似ている部分があるなとも感じています。
新幹線には、誰かに会いに行くために乗っていただいていると思うのですが、コーヒーもこれだけ機械化が進んで、人じゃなくてもおいしいコーヒーができるようになってきているけれども、やっぱり私たちはバリスタの方に淹れてもらいたい、あの人に淹れてもらいたいという気持ちがすごくあるんじゃないかなと思っていて。
その人との会話を楽しむとか、人による微妙な違いを楽しむとか、いろいろな理由があると思うのですが、会いに行きたい気持ちというのが、新幹線に乗られているお客様も同じじゃないかなと考えました。
誰かに会いに行きたくて移動している、そこにコーヒーと鉄道の親和性を感じて、この企画につながった部分はあります。
──すごくコーヒーへの情熱を感じますが、そもそも赤塚さんがスペシャルティコーヒーにハマったきっかけは？
赤塚さん：もともとコーヒーは好きだったんですが、仕事帰りに立ち寄らせていただいた名古屋のTRUNK COFFEEさんで、スペシャルティコーヒーに初めて出会いました。
エチオピアのナチュラルを飲んだのですが、こんなにフルーティーでおいしい飲み物があるんだと本当に驚いて。その衝撃が忘れられず、そこからコーヒーについてもっと知りたいと、どんどん沼にハマっていきました。TRUNKさんのカッピング会には今でもよく参加させてもらっています。
──その体験がベースにあるんですね。
新幹線開業60周年記念に、社員の夢を叶える
──この企画を実際に進めているのは平嶋さんの部署だと伺いました。
平嶋さん：はい。「東海道新幹線貸切車両パッケージ」という、運行する新幹線を1両単位で貸し切れる商品を私の部署で取り扱っています。これまで企業様やインフルエンサーさんなど、さまざまな方々に使っていただいていますが、今回は、この貸切車両パッケージを使って、「スペシャルティコーヒー新幹線」を走らせたい、という提案をいただいたので、私の方でバリスタさんへのお声がけや、機材の調達などの準備を進めています。
──平嶋さんはこの企画を聞いたとき、どのように思われましたか？
平嶋さん：そもそもスペシャルティコーヒーを知らなかったので、どういうコーヒーなんだろうというところから始まって。赤塚さんにバリスタさんのお名前を色々お聞きして、ご参加いただく方にお声かけしようと、小坂田祐哉さんの Raw Sugar Roast に最初に訪問させていただいたのですが、そこで飲んだアイスコーヒーはすごく衝撃的でした。
なんといってもフルーティーで、こんなコーヒーが世の中にあるんだと私も驚きました。この企画を通して、私もコーヒーの魅力を知ることができたので、今は、この「スペシャルティコーヒー新幹線」が実際に走って、皆さんに喜んでいただけるのを楽しみにしています。
──今回乗車する3人のバリスタは、赤塚さんが選ばれたんですか？
赤塚さん：一言でいうと、私がリスペクトするバリスタさんです。素晴らしい方が他にもたくさんいらっしゃるので悩みましたが、今回協力いただくお三方は、これまでイベントなどに行かせていただく中で、人間性も含めて素晴らしい方々だと思っていました。今回の企画で、車内で行うトークセッションでもお客様に喜んでいただけるのではないかと、お名前をあげさせていただきました。
──なるほど、赤塚さんの推しの方々なのですね。今回の企画は、東海道新幹線開業60周年記念に、社員の方のアイデアを取り上げたという形になるんですよね。
平嶋さん：はい、60周年の今年こそやるべき企画だと考えています。
赤塚さん：本当に、夢を叶えていただいています。入社して16年目なのですが、社員のアイデアを取り入れるなんて懐の深い会社だなぁと改めて思います。それに、この企画のために大変な準備を必死にやってくれる仲間が会社にいるということが、すごく嬉しいですし、感謝しかないですね。
新幹線車内で本格的なエスプレッソを出すという挑戦
──新幹線のなかでエスプレッソやドリップのコーヒーを出すとなると、準備は本当に大変そうですね。
平嶋さん：まずどんな機材が必要かもわからなかったので、バリスタさんに一から伺って。その上で、デッキと座席数席の限られた車内空間でエスプレッソマシンなどを、どのように配置するのか、どのように電源を調達するかなど、問題を一つひとつ地道に解決しながら準備しています。特注で机を調達したりしていますね。
また、プロの目線が必要というところで、キーコーヒーさん、機材提供ではトーエイ工業さんのお力も借りて進めています。
これまで「貸切車両パッケージ」では、企業さんが新商品発表会をされたり、レッドカーペットを敷いて結婚式をしたり、車内でプロレスをしたりと、さまざまなイベントがありましたが、今回の「スペシャルティコーヒー新幹線」からも、単なる移動空間ではない新幹線の新たな可能性というものを感じていただけるのではないかと期待しています。
──どんどん新しいアイデアを出して「貸切車両パッケージ」をいろいろな方に活用いただけるといいですよね。ところで、当日は赤塚さんも乗車されて、トークセッションの司会をされるんですよね。
赤塚さん：はい。錚々たるバリスタの方々に私が質問するのは恐れ多いのですが、お客様に楽しんでいただけるような質問や、ここに乗ったからこそ聞けたというようなお話を引き出せたらと思っています。
──では赤塚さんから「スペシャルティコーヒー新幹線」にご乗車される方にメッセージをお願いします。
赤塚さん：スペシャルティコーヒーを飲んで、美味しくて驚くという体験は、私もそうでしたが、まだ知らない自分に出会えたというような感覚に近いのかなと思います。このコーヒーを美味しいと思う自分を知らなかった、それはまだ見ぬ自分に出会う旅とも言えるんじゃないかと思います。
この「スペシャルティコーヒー新幹線」に乗って、新しいコーヒーと出会い、それを発見した自分と出会う。そんな出会いの旅に出ていただければ嬉しいなと思います。
──お二方、ありがとうございました。
私たちCROWD ROASTERは、今回の企画で、まさにここでしか出会えない、貴重なパナマのコーヒー豆を提供することで、この出会いの旅のお手伝いをさせていただきます。
当日は、本当に希少で素晴らしいコーヒーを用意していますので、ぜひ楽しみしていただければと思います。
東海道新幹線開業60周年記念企画『スペシャルティコーヒー新幹線』
東海道新幹線は、2024年10月に60周年を迎えました。これを機に東海道新幹線に人気バリスタ計3名（ジャパンバリスタチャンピオンシップで3度優勝した石谷貴之氏や、小坂田祐哉氏<東京・世田谷「Raw Sugar Roast」>、西尾逸平氏<京都「Direct Coffee Kyoto」>）が乗車し、ここでしか体験出来ないスペシャルティコーヒーをお楽しみ頂く、東海道新幹線60周年記念「スペシャルティコーヒー新幹線」を運行します。
ぜひこの機会に3名のバリスタが織りなす高品質なコーヒーの香りに包まれながら、非日常空間をご堪能ください。
日時：2024年12月7日（土）
列車：のぞみ343号（東京11時18分発～京都13時29分着）普通車16号車
募集人数：60名
※募集人数は予告なく変更となることがあります。※先着順で受け付けます。
旅行代金：26,000円（税込）
販売期間：10月9日（水）10時00分～11月24日（日）23時59分
申込方法：ジェイアール東海ツアーズの下記サイトよりお申込みください。
