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カップ・オブ・エクセレンス(COE)について改めて知る

 
カップ・オブ・エクセレンス(COE)は、世界最高峰のコーヒーを選ぶ国際的な品評会です。国単位で開催されており、1999年に国際コーヒー機関(ICO)のグルメコーヒー・プロジェクトによって設立され、現在はAlliance for Coffee Excellence(ACE)が運営しています。

審査は、スペシャルティコーヒーのカッピングの専門家であるQグレーダーによって行われ、コーヒーの味、香り、風味など、さまざまな基準で評価されます。

COEで選ばれたコーヒーは、インターネットオークションで販売されます。オークションはACEが主催し、世界中のロースターやコーヒー業者が参加しています。

オークションで高値で落札され、その多くは生産者に還元されます。生産者は、高額の報酬を得るとともに、高品質なコーヒーの生産者として、バイヤーから継続的な取引を獲得することも可能になります。

COEの評価方法は?

では、どのようにCOE入賞ロットは選ばれるのでしょうか。ここでは、COE公式の解説に沿って説明していきます。300銘柄がエントリーした場合です。
 
<COEカッピングフォーム>

COEでは、独自のカッピングフォームを使用して採点され、大きく分けて3段階の評価を行います。最初は、プレセレクションとしてスペシャルティコーヒーとして基準に達しているか、つまり平均86点以上の、上位150銘柄を選びます。

次の段階は、開催国で資格を有する約12人の国内審査員による審査です。
平均86点以上の上位90銘柄、次に上位40銘柄を選んでいきます。

最終段階では、アメリカ、欧州、日本などの消費国を含む世界から招聘された20~25人の経験豊富な国際審査員によって、評価が行われます。まず、平均87点以上を獲得したコーヒーを選定し、その中からベスト30を決定。87点以上で上位30位に入った銘柄が入賞とされます。

300件のエントリーがあれば、8,500杯のカップが取られ、トップ10のコーヒーは少なくとも120回カップされるとしています(上図)。

こうしてエントリーした中で、上位30銘柄がオークションに確実に出品され、COE入賞銘柄として販売されることが許されるのです。

COEのこれまでの歴史

品質のよいコーヒーが評価され、生産者に利益が還元されるという仕組みは、スペシャルティコーヒーの概念が登場するまで存在しませんでした。

1990年代に消費国側から品質向上の要請もあり、優れたコーヒーに付加価値をつけて販売する、前述のグルメコーヒー・プロジェクトはをブラジルを最初のモデルケースと位置付けて取り組みを始めました。

1998年に、ブラジルの審査員らが高評価をつけたコーヒーをプレミアム価格で販売するという試みは失敗しましたが翌1999年に、欧米の著名なカップテイスターを招いて行われた品評会は、非常に高評価となり、インターネットオークションによりプレミアム価格で販売されました。

この1999年のブラジルでの品評会が第1回のCOEとされ、この成功から他の生産国にも広まっていきました。その後、次のような国々で開催されています。
 

COEが開催されている国々

1999 ブラジル
2001 グアテマラ
2002 ニカラグア
2003 エルサルバドル
2004 ホンジュラス、ボリビア
2005 コロンビア
2007 コスタリカ
2008 ルワンダ
2012 ブルンジ、メキシコ
2017 ペルー
2020 エチオピア
2021 インドネシア、エクアドル
(左の数字は初回の開催年。すべての国で毎年開催されているわけではない)

当初の取り組みは、スペシャルティコーヒーの品質向上と普及に努めていたSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)と協力して行われ、カッピングフォームもSCAAのものが用いられていましたが、グルメコーヒー・プロジェクトを率いていたジョージ・ハウエルらが2002年、Alliance for Coffee Excellence(ACE)を設立。
SCAAとは袂を分かち、ACEが会員組織を立ち上げて、オークションを行なっています。

このように、徐々に開催国も中南米からアフリカの国に広がり、2020年には待望のエチオピアでの開催が実現しました。

また、COE以外にも、ベスト オブ パナマ(BOP)などの国際的な品評会やオークションが開催されています。

COEへの入賞は、生産者や農園にとって、飛躍のきっかけとなることも多く、例えばコロンビアのエルパライソ農園は、2018年のCOEでダブルアナエロビックによるコーヒーが10位に入賞しましたが、オークションでは1位のコーヒーよりも高い金額で落札され、一躍有名になっています。

生産者と消費国をつなげる取り組みとして、COEは大きな役割を果たしているといえるでしょう。
 
 
 
2023.5.18
CROWD ROASTER