こんにちは!!Coffee Fanatic三神です。
生産処理シリーズ。引き続き水洗式のフリーウオッシュド(Fully Washed)の解説を進めていきたいと思います!
【続】Fully Washedのバリエーション
③ 野外にあるコンクリートタンクで2回水洗発酵する(Soaking = Double Fully Washed)
④ 野外にあるコンクリートタンクでイーストを散布して水洗発酵(Yeast Fermentation)
⑤ 屋内にあるコンクリートタンクで空調を使用して水洗発酵(Cold Fermentation)
字面を見ただけだとあんまりよくわからんですね!!(笑)
それでは行ってみよー!
2回目の水洗「ソーキング(Soaking)」
いわゆる“ケニア式”というやつですが、ファナティックは海外でその呼称を聞いたことがないです・・・。でもケニアなどを含む中央~東アフリカで一般的な生産処理方法です。
ソーク(Soak)は英語で濯ぐという意味で、いわゆるリンス(Rinse)と同じような意味です。発酵後に洗浄されたパーチメントをもう一度水槽に戻してたっぷりの水の中に沈めます。時間はだいたい24時間位です。
まあ、一度発酵が終わっているので、そんなに長くやる必要はないと思うのですが、長くても48時間くらいですかね?
二回洗うのでダブル・フリー・ウオッシュド(DFW:Double Fully Washed)とも言います。
ソーキング中の水はとってもきれい♡@コスタリカ
Guatemala El Injertoのソーキングタンク
ちなみにソーキングを行うと味わいはこんな感じになります。
酸はよりまろやかに、質感は滑らかになる。クリーンカップは向上する
・・・・・・
基本的にソーキングを行う事でネガティブな要素は発生しないと思います。あんまりポテンシャルのない生豆だと味わいが希薄になるともいわれますが、クリーンカップは上がりますし、質感も向上します。ただ酸のストラクチャーはやや丸みを帯びるので、フレッシュな感じにはならないかもしれません。
水につけるので発酵工程の一つではありますが、あまりそういう目的では行われていません。あくまできれいに洗浄しているというイメージです。ただ何かしらの発酵は若干は進んでいるはずなので、ひょっとすると乳酸菌がやや優位に働いているかもしれませんね。知らんけど・・・。個人的に好きな生産処理の一つです。
なおソーキングは発酵工程の後で行われる処理なので、その前段階の発酵の仕方によってちょっと味わいの傾向が変わります。
基本的にソーキングを行う事でネガティブな要素は発生しないと思います。あんまりポテンシャルのない生豆だと味わいが希薄になるともいわれますが、クリーンカップは上がりますし、質感も向上します。ただ酸のストラクチャーはやや丸みを帯びるので、フレッシュな感じにはならないかもしれません。
水につけるので発酵工程の一つではありますが、あまりそういう目的では行われていません。あくまできれいに洗浄しているというイメージです。ただ何かしらの発酵は若干は進んでいるはずなので、ひょっとすると乳酸菌がやや優位に働いているかもしれませんね。知らんけど・・・。個人的に好きな生産処理の一つです。
なおソーキングは発酵工程の後で行われる処理なので、その前段階の発酵の仕方によってちょっと味わいの傾向が変わります。
基本はウエット・ファーメンテーションなのですが、水源が豊富でないと水の使用量が多くなる(ダブル(;´・ω・))ので、ドライ・ファーメンテーションを行うところが増えていると思います。
ルワンダのCWSでもソーキング前の発酵はドライで行うところが結構ありました。
【ウォーター・ファーメンテーション+ソーキング】
酸は明るくまろやか。質感は滑らかでややボディが強まる
【ドライ・ファーメンテーション+ソーキング】
基本的な傾向は上記と同じ。甘さとボディがやや強まる
・・・・・・・
ちなみにこの両者を見た目から判別するのはちょっと厳しいですが、少しは差がでると思います。
ソーキングされた生豆のアピアランス(見た目)は大変美しいです。ただ長期間水にさらされているので、その後乾燥工程で丁寧な乾燥を施さないと、劣化が進みやすくなるので、水分管理は重要ですね。
【ウォーター・ファーメンテーション+ソーキング】
酸は明るくまろやか。質感は滑らかでややボディが強まる
【ドライ・ファーメンテーション+ソーキング】
基本的な傾向は上記と同じ。甘さとボディがやや強まる
・・・・・・・
ちなみにこの両者を見た目から判別するのはちょっと厳しいですが、少しは差がでると思います。
ソーキングされた生豆のアピアランス(見た目)は大変美しいです。ただ長期間水にさらされているので、その後乾燥工程で丁寧な乾燥を施さないと、劣化が進みやすくなるので、水分管理は重要ですね。
ケニアの場合は高床式のアフリカンベットで行うため、とても清潔かつ効率的な乾燥が行えます(あくまでも乾燥効率であって作業性はそんなに良くない)。タンザニアもアフリカンベットを使用しますが、乾燥が甘いのか、ケニアに比べると白変しているケースも多く、これらは枯れやすい傾向があります。
(左)ケニアのDFW(右)エルサルバドルのDFW・・・どっちもきれいな見た目♡
(写真だとわからんけどエルサルバドルの方が、若干シルバースキンが多い)
抑菌目的のための「イースト発酵(Yeast Fermentation)」
水槽発酵時にイースト=酵母を振りかけます。このイーストによる発酵はブラジルのラブラス大学の教授がおすすめしている方法ともいわれていますが、ブルンジやルワンダなどでも見ることができます。
イーストはパンやビールなどのアルコール発酵に使用される真菌類で嫌気性の特徴を持ちます(無酸素でも活動できる)。通常の発酵では自然任せになるので、はっきり言って、どういった種類の菌がどれだけの割合で活動してミューシレージを発酵させていているのか全く分からん状態になっています(*´ω`*)。
イーストを使用すると少なくとも発酵におけるネガティブな作用は行われないので、好ましくない菌の活動割合を減らすことができます。生成物のアルコールも品質安定に寄与します。また発酵時には発酵槽表面に泡の膜が発生するとともに、発酵全体のプロセスの均一化にも寄与します。
よく味わいのためだと思われますが、水洗式の場合は、ほぼ抑菌目的のためにイースト発酵は行われます。なので、基本的にフレーバーを付加することはありませんが、なんとなく、発酵時のパンっぽい甘いニュアンスが出ることもあります(本当にかすかにって感じ・・・)。
よく味わいのためだと思われますが、水洗式の場合は、ほぼ抑菌目的のためにイースト発酵は行われます。なので、基本的にフレーバーを付加することはありませんが、なんとなく、発酵時のパンっぽい甘いニュアンスが出ることもあります(本当にかすかにって感じ・・・)。
ナチュラルの嫌気発酵(Anaerobic)でも使用されますが、イースト由来のフレーバーが付くことはありませんね。
イースト発酵の水洗式はウエット・ファーメンテーションが主流になります。ドライだと大量のパーチメントをかき混ぜて菌を分配しなければいけないので、大変な作業になってしまうからですね。なお味わいは・・・。
イースト発酵の水洗式はウエット・ファーメンテーションが主流になります。ドライだと大量のパーチメントをかき混ぜて菌を分配しなければいけないので、大変な作業になってしまうからですね。なお味わいは・・・。
かすかに甘さが付与され、質感のボリュームも若干向上する
昔ルワンダのロットで検証に参加したことがありました。効果としてはソーキングに近いと思いますが、アフリカ諸国ではソーキングがほぼデフォルトなので、いまいち、単一の効果が判定しづらくもあります。ただイーストありとなしでは甘さと質感、それから酸の鋭さに違いが出たので(ほんとーに微妙な差ですが・・・・)何かしらの効果はあると思います。
とりあえず抑菌と品質の向上、それからフェノールなどのダメージリスクを低減するうえでは有用な発酵方法です。
温度管理発酵(Cold Fermentation)
適切な言い回しがよくわからなくて、一応コールド・ファーメンテーションの呼称をあててみました。要は温度管理された発酵を行うものです。
むかし、ニカラグアの生産者が屋外ではなく、空調管理された屋内でミューシレージの発酵を行っていました。室温は空調で20℃程度に設定されていたと思います。
むかし、ニカラグアの生産者が屋外ではなく、空調管理された屋内でミューシレージの発酵を行っていました。室温は空調で20℃程度に設定されていたと思います。
生産地の昼は結構気温が上がってきますが、夜は寒くなるほど気温が下がることが一般的なので、ピークの14時から夕方にかけて温度管理できればそれほど空調コストはかからないかもしれませんね。
Nicaragua Casa Blancaの屋内発酵槽(横の黒いパイプは壁の向こうのピニャレンセのシステムにつながっている)
この方法では発酵時の温度があまり上がらないため、発酵時間が長くなります。その代わり変な腐敗や外部の雑菌の混入も少し減ります。
発酵時間が長いため味わいは少しぼやけますが、品質は安定しています。ということで味わいは・・・・(‘Д’)。
質感が滑らかになる。反面酸とフレーバーの印象はマイルドになる
ざっくりというと全てにおいて“落ち着いた”感じになります。ソーキングなどでもそうですが、水槽での滞留時間が長いものは、なんとなくボディが少し強くなって滑らかになる傾向あるように感じますね。
空調管理であれはドライ・ファーメンテーションでも大丈夫ですが、発酵しているパーチメントはどんどん温度が上がってしまうので、やはり水を使用して発酵する形式の方が温度は低く誘導しやすいですね。
またこれ以前に夜間に生産処理を開始したり、収穫後のチェリーにシャワーで水を撒いて低温を維持する(そのまんまCold Showerって言ってたな・・・・(;・∀・))などの予備温度調整なんかもあったります。
まあ、ワインやビール、その他の発酵もそうですが、普通は温度管理するのが当たり前です。結果の品質がすごく変動してしまうからですね(失敗=腐敗)。なので、最近の生産者動向としては、発酵時の温度管理を行いたいというトレンドが高まってるようです。
特にファンキーナチュラルや嫌気発酵の類は温度が上がるとストロベリーフレーバーを通り越して、醤油&味噌フレーバー直行なので(笑)、やはり温度管理は大切ですねー!
巷には微生物添加後に発酵時間を長くして48時間だとか、92時間だとか、30日発酵だとうたっている特殊ロットもありますが、発酵時間が長ければよいという訳では全くないです。クリーンカップが低下して発酵臭が主体的になってしまうと意味がないので、いかに丁寧な管理を行うかが今後も重要だと思いますー。
・・・・・・・
ということで、駆け足で3種紹介してきましたー!
次回はメカニカル・ウオッシュになります!
それではみなさんごきげんよう。
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ということで、駆け足で3種紹介してきましたー!
次回はメカニカル・ウオッシュになります!
それではみなさんごきげんよう。
2023.07.29
ファナティック三神
ファナティック三神