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生産処理とは?【Coffee Fanatic 三神のディープコーヒーワールド 第1回】

こんにちは、Coffee Fanatic 三神です。
 

いつもはRoast Design Coffeeのブログで細かいコーヒーのお話をさせていただいておりますが、今回CROWD ROASTERさんの方でも機会を頂戴し、記事を書かせていただけることになりました(∩´∀`)∩

初回の連載はCROWD ROASTERさんからのご希望もあり、コーヒーの生豆を摘出する方法である生産処理、いわゆる“PROCESS”についてお話していきたいと思います!

それでは、本日は生産処理からお話をさせていただきますね!

生産処理とは?

 
英語ではPROCESS(プロセス)と呼ばれ、日本語だと“生産処理”という言葉がスペシャルティ界隈では当てられています。ちなみに精選はMilling(ミリング=もともとは“挽く”という意味)と言いまして、生産処理を行う施設をWet Mill(ウエット・ミル)と言います。

・・・・・・ややこしいですね(笑)。

コーヒーの場合は果実全体ではなく、種子(生豆)を何かしらの方法で摘出してから焙煎を行い、粉砕して抽出することが一般的です。実は種子以外の部分を活用する方法もあるのですが、(ギシル、カスカラ等)ちょっと今回の趣旨(種子だけに)から逸脱するので、触れないでおこうと思います。

何故生産処理が必要なのかというと理由はたくさんありますが、何よりもまず、乾燥が必要であることが第一義になります。

乾燥させないと保管や輸送時に腐ったりカビたりするので、商品穀物としてまず品質が安定していることが前提で、かつ消費国等での加工にすぐ移れるような状態であることが望まれます。コーヒーの場合は乾燥した種子の状態(水分値が10~11%程度)である必要があります。

乾燥したチェリー(果実)、またはパーチメントコーヒー(内果皮が付いた状態のコーヒー)まで仕上げる過程はWet Milling(ウエット・ミリング)と呼ばれ、ここまでがいわゆる“PROCESS”が担当する役割になります。
 

プロセス後のDry Mill工程

 
この後次に待っているのは欠点の除去とスクリーニングです。

チェリーやパーチメントコーヒーの状態だと、中の種子が虫食いだったり、生育不全だったり、腐っていたりしても外果皮や内果皮に覆われているので、判別がつきません。なので、果肉や内果皮を向いて適切な状態の種子であるかどうかを確認する必要があります。

また実際の種子の大きさは必ずしもコーヒーチェリーそのものの大きさと比例していないことがあります。果実や種子のサイズのことを“スクリーン”と言いますが、スクリーンが不ぞろいだと種子間で物理的特性がばらばらになってしまうため、味わいはもちろん焙煎時の挙動にも影響してきます。

PROCESS後に持ち込まれた乾燥チェリー/パーチメントは専用の施設で脱殻されて、スクリーンや比重選別などを経て、等級ごとに振り分けられます。これは輸出用の品質等級を定める作業でGrading(グレーディング=輸出規格化)と呼ばれます。この後は直ちに麻袋などに梱包されて、船積み用のコンテナに積載されます。前半の生産処理工程に対して後半工程であるこちらの方はDry Milling(ドライ・ミリング)と呼ばれます。基本的にDry Mill工程は輸出直前=船積み直前に行われます。

基本的な生産処理3種

Dry Millingはまたまた今回の趣旨からそれてしまうので(;´∀`)、脱線しかけましたが、またPROCESSに話を戻したいと思います(笑)。

(まあ、ドライミルも本当はDry Mill “Process”っていうんだけどね・・・・。うぽ)

最初の乾燥工程となるPROCESSには大別すると3つのカテゴリーがあります。それぞれ精製方法に特徴があり、下記の通りとなっています。
 
【基本的な生産処理3種】
 
①    Natural(ナチュラル)
②    Washed(ウオッシュド)
③    Pulped Natural(パルプド・ナチュラル)

順に説明していきますね!!

ナチュラル:Natural

 
Naturalは日本語で“非水洗式”と呼ばれています。収穫したコーヒーチェリーをそのままコンクリートのパティオや高床式のサスペンデット・パティオ(別名アフリカンベッド)の上に広げて天日乾燥させる方式です。もっともシンプルで簡単にできる乾燥工程で、コストも安いのですが、良いとこと不便なところを比べると以下のような側面があります。

良い点

・工程が簡単でコストが低い
・それほど特別な設備(果肉除去機、選別機、発酵槽、水洗施設等)を必要としない

悪い点

・乾燥に時間がかかる(4週間~30日くらい)
・乾燥中に雨が降ると発酵やフェノールが発生しやすくなる
・乾燥が進むと青い未熟果実も、赤い完熟果実も色が黒くなるので、乾燥後に熟度の判別ができない

ウオッシュド:Washed

 
 
Washedは水洗式と呼ばれます。パルパーという果肉除去機で果肉を剥いた後、内果皮(パーチメント)に付着している粘液質を発酵工程で除去してから乾燥工程に入ります。

良い点

・パーチメントの状態で乾燥させるので乾燥時間が短くなる(10日から2週間くらい)
・水路を使った比重選別でパーチメントコーヒーのスクリーニングや品質選別ができる

悪い点

・水を多く使うので環境負荷が高い
・除去果肉や汚水を処理する必要がある。
・速やかな果肉除去を行う必要があるため(収穫後のチェリーは経時で変質してしまう)、農地がWet Mill施設に近い必要がある。
・発酵時に取り扱いが不適切だと発酵欠点が発生することがある
・水洗設備が必要なので、導入負荷が高い

パルプド・ナチュラル:Pulped Natural

 
Pulped Naturalはそのままパルプド・ナチュラルと呼ばれます。割と最近の生産処理であり、出たての頃はSemi Wash(セミ・ウオッシュ)と呼ばれてこともあります。チェリーの果肉除去を行いますが、粘液質は取り除かないで乾燥工程に入ります。

良い点

・Naturalより短い時間で乾燥できる(2週間くらい)
・Washedより使用する水の量が少なく、環境負荷が軽い

悪い点

・除去果肉や汚水を処理する必要がある。
・粘液質が多いと予備乾燥が必要なため、手間がかかる
・ホコリやチリなどが粘液質に付着する恐れがある
・果肉除去機、選別機や乾燥台等ある程度(場合によってはWashedと変わらない位)の設備投資が必要

・・・・・・・・

という感じでまずはざっくりと上げてみました!!

次号ではどのような意図でそれぞれの生産処理が生産国で用いられているかをお話してきたいと思います!

それではみなさんごきげんよう
 

ファナティック三神

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Ryo Mikami

Ryo Mikami

大学卒業後とある事情からスターバックスに勤めたことをきっかけにコーヒーの可能性に邂逅。紆余曲折を経てスペシャルティコーヒー専門商社に入社。Fanatic道に開眼し、相場考察、産地訪問、品評会審査、大会コーチ、抽出、焙煎、機器提案等コモディティーからスペシャルティまで多岐にわたる業務に通じ現在に至る。CROWD ROASTERアドバイザー。