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1CCCチャンピオン・立野慶太さんに独占インタビュー【1CCC2024決勝レポート前編】

35歳以下の若手焙煎士の発見・育成を目指す焙煎大会「1ST CRACK COFFEE CHALLENGE」(ファーストクラックコーヒーチャレンジ。略称「1CCC」)の決勝が、2024年9月13日(金)に東京カルチャーカルチャーで開催され、和歌山市にある「THE ROASTERS」の立野慶太さんが優勝を勝ち取りました。


ガスクロマトグラフィーを用いたアロマ分析などによる「焙煎技術」を競う予選を経て、決勝に進出したのは6名のファイナリスト。

決勝ステージは6名が一堂に会し、20分ずつの「プレゼンテーション」と「ウェルカムドリンク」を、4名のジャッジが採点。その総合得点によって最終的にチャンピオンが決まります。


そんな厳正な審査を経て今大会を優勝した立野さんは、なんと弱冠20歳という若き焙煎士。

高校卒業後に自動車整備士とコーヒーで迷ってコーヒーを選んだこと、「THE ROASTERS」に勤める中で感じたコーヒーへの熱い思いなどの自己紹介に始まり、世界のコーヒーの現状やコーヒー農場の状況を知り、長年農業を営んできたお父さんから聞いた農業の苦労話と重ね合わせて、身近な人のリアルな言葉から世界を知り想像するという、立野さんならではの視点が語られました。

今年のテーマ「ロースターとして、持続的なコーヒーのために出来ること」の発表では、「コーヒーの未来のためにできること」と題して、ロースターという立場から「サプライチェーンを「輪」に変える」というアイデアを提起。

ロースターが直接接しているバイヤーや消費者との関係を考えつつ、従来は輸入業者、組合などを通じてしか届けられなかった生産者への思いを、若者らしくSNSやウェブメディアなどを活用して直接消費者から届けるという、新たな「輪」を作りたいという20代のストレートで純粋な思いが、審査員の心にも響いたように感じます。

 
そんな立野さんに、決勝の余韻冷めやらぬ会場にてインタビューを実施。
最年少ながらしっかりした考えと未来への希望を感じさせる眼差しが印象的でした。

予選の焙煎は10回以上。最も近いと感じた焙煎豆を提出

──「1CCC 2024」での優勝、おめでとうございます! 終わったばかりのところですが、今日の決勝ステージの感想をお聞かせください。

立野さん:自分としては、今持っている知識を全部出したつもりで、それが伝わったらいいなと思っていました。ここまで勉強したことが伝わったからこその結果なのかなというのが、とても嬉しいです。

──予選の焙煎については、どのように取り組まれたのでしょうか?

立野さん:最初のサンプル焙煎豆(豆ポレポレ 仲村良行さんが焙煎した基準となる豆)の味が印象に残っていて。自分なりの印象ではあったのですが、手回し焙煎機で焼き色とか火力調整とかをしつつ、1回あたりの焙煎量は少なめにして、10パターンくらいを自分で試行錯誤しました。それらをすべてカッピングして、この辺の焙煎が近いというものに絞って、さらにそこから選ぶという作業でした。

焙煎技術の向上は地元・和歌山のロースター仲間がいたから

──プレゼンテーションの中で、これまでの焙煎士としてのキャリアについても語られていました。焙煎自体を始めたのは今年の4月からとのことでしたが、どのように焙煎の技術を習得されてきたんでしょうか?

立野さん:焙煎技術を高められたのは、ロースター同士のつながり、地元ロースターの集まりのおかげです。和歌山市はコーヒーを飲む人がちょっと少なくて、それで和歌山で盛り上げよう!ということで集まったグループだったので、みんな協力的に情報共有ができて、とても勉強になりました。

──ご自身の今の焙煎技術については、どう評価していますか?

立野さん:焙煎の腕としてはまだまだだとは思っています。正直、ある程度美味しい豆なら、自分でも焼けるとは思っているのですが、やっぱり教えてくれる方の知識量とか、コーヒーを飲んでみた時の評価の仕方とかも全然違います。自分よりもすごいと思う人ばかりで、まだまだ勉強しているところです。

地元のロースターのつながりをコツコツ広げたい

──今回「1CCC」で若手焙煎士のチャンピオンになったわけですが、この受賞によって焙煎士としてどんな変化がありそうですか?
立野さん:(「1CCC」チャンピオンという)賞はいただきましたが、でも僕はやっぱり今まで通り、地元のロースターのつながりをもっと広げていくことからコツコツやっていきたいです。夢は、いま所属している「THE ROASTERS」をなくならないようにしたいということ。

あと、焙煎機はやっぱり欲しいです。店舗にはラッキーコーヒーの3kgの焙煎機があるのですが、僕はまだ使ったことがないので、これを機にちょっとずつ焙煎機もさわっていければと思っています。
とにかく「次に向かって進む」だけです。今までは教えてもらってばかりでしたが、これからは引っ張る側になっていきたいと思います。


立野さん、ありがとうございました。
優勝した立野さんは、10月9日(水)〜11日(金)にかけて東京ビッグサイトで行われる、アジア最大級のスペシャルティコーヒーの祭典「SCAJ2024」のギーセンジャパンブースにも登場予定。CROWD ROASTERとの

記事の後編では、4名のジャッジとギーセンジャパン代表の福澤さんに、今大会を振り返っていただきました。こちらも近日公開予定です。

1CCC 2024

「1CCC 2024」特集企画

・1CCC 2024決勝ステージレポート<前編> チャンピオン・立野慶太さん(THE ROASTERS)インタビュー
・1CCC 2024決勝ステージレポート<後編> ジャッジ&ギーセンジャパン 福澤氏インタビュー